空中給油機(読み)くうちゅうきゅうゆき

共同通信ニュース用語解説 「空中給油機」の解説

空中給油機

飛行中の戦闘機輸送機の滞空時間を延ばすため、上空燃料を補給する航空機。「空飛ぶガソリンスタンド」の異名を持つ。航空自衛隊も5機保有し、いずれも愛知県の小牧基地に配備している。米軍普天間飛行場から岩国基地に移駐するKC130は全長約29メートル、全幅約40メートル。プロペラ機のため、ヘリコプターなどの低速機にも給油できる。物資人員輸送も可能。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「空中給油機」の意味・わかりやすい解説

空中給油機
くうちゅうきゅうゆき

飛行中の戦闘機や空中早期警戒管制機AWACS)などに上空で燃料を補給するための航空機。いわば貨物のかわりに航空燃料を大量に積載できるようにつくられた航空機で、管のような給油装置を空中で伸ばして給油する。戦闘状態の続いているような状況では有用な装備といわれる。日本でも冷戦時代から導入論があったが、F‐15戦闘機などの航続距離が伸びることから「専守防衛」に反するなどの反対論が強く、具体化しなかった。しかし、中期防衛力整備計画(1996~2000年度)で「性能、運用などに関する検討を行い、結論を得て対処する」と記され、防衛庁(現防衛省)は導入に向けて検討を進めた。その結果、2009年度まで4機が導入されることになり、2008年(平成20)2月に愛知県の小牧基地に航空自衛隊初の空中給油機KC767が配備された。空中給油機により戦闘機が上空で待機する空中警戒体制(CAP)をとれば、迎撃効果が高まるうえに、離着陸による燃料のロスも抑えられるとされる。しかし航空戦闘能力が高まることから、国内や、中国、韓国などから懸念が示されている。

[本谷夏樹]

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知恵蔵 「空中給油機」の解説

空中給油機

輸送機などを改造して、胴体内に大型の燃料タンク(米空軍のKC10は20万リットル)を設置した航空機。「ブーム」というパイプを戦闘機、爆撃機などの給油口に差し込むなどの方法で飛行中に給油する。これにより、航空機の航続距離は飛躍的に伸びる。航空自衛隊の防空用戦闘機の一部に空中給油して上空で待機させたり、洋上の訓練空域への往復回数を減らす、などのため、防衛省はボーイング767改造の給油機4機を発注、07年3月から納入されるはずだったが、同社のテストが遅れ納入は1年遅れることになった。

(田岡俊次 軍事ジャーナリスト / 2008年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

世界大百科事典(旧版)内の空中給油機の言及

【空中給油】より

…空中給油は,1923年アメリカ陸軍が実験に成功して以来,記録の達成など特殊な目的のため使用されたが,ジェット機の時代になり,その大きな燃料消費を補うため,戦略爆撃機,戦闘爆撃機および艦上機などに対し,常用されるようになった。空中給油を行う母機は空中給油機tankerと呼ばれ,大型の燃料タンクと給油装置をもち,輸送機などを原型として作られたものが多い。現代の空中給油の方式には2種類ある。…

※「空中給油機」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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