(読み)やつれ

精選版 日本国語大辞典 「窶」の意味・読み・例文・類語

やつれ【窶】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「やつれる(窶)」の連用形の名詞化 )
  2. 服装を粗末なものにすること。人目をしのぶために目立たない姿になること。
    1. [初出の実例]「この頃の御やつれに設け給へる狩の御装束着かへなどして出で給ふ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)夕顔)
  3. 苦労病気、積もる年齢などのために、衰え、肉が落ちて、みすぼらしくなること。また、そのような様子。憔悴(しょうすい)
    1. [初出の実例]「齢のつもりにはおもなくこそなるわざなりけれ。世に知らぬやつれを」(出典:源氏物語(1001‐14頃)朝顔)
  4. 品位を落とすことになるもの。汚点となるもの。
    1. [初出の実例]「ただ一言、物越しにて聞え知らす許は、何ばかりの御身のやつれにかはあらむ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)若菜下)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「窶」の読み・字形・画数・意味


14画

(異体字)窶
16画

[字音] ク・ル・ロウ
[字訓] まずしい・やつれる

[説文解字]

[字形] 形声
声符は婁(ろう)。婁に(く)の声がある。〔説文〕七下に「禮無きの居なり」とし、婁声とする。〔釈名、釈姿容〕に「數は局縮のごとし。皆小なるなり」とする。數(数)は婦人の巻きあげ髪を殴(う)つ形で、髪が乱れほつれる意。中に仕える女が乱れ髪のまま飾りを加えない姿であるから、貧苦の意となるのであろう。みすぼらしく、やつれた姿容をいう。飾りの盛んな姿は、妻・(敏)・(繁)・毒のような字形で示される。はまた窶に作るが、俗体である。

[訓義]
1. まずしい、やつれる。
2. みだれる、小さい。
3. 甌(おうろう)、小さな岡。

[古辞書の訓]
名義抄 ムナシ・マヅシ・ツタナシ・ヤツヤツシ 〔字鏡集〕窶 ツツセシ・イヤシ・マヅシ・ツタナシ・ヤツヤツシ・ムナシ・アナ

[熟語]

[下接語]
・寒・羈・窮・孤・困・貧

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