(読み)やつれる

精選版 日本国語大辞典 「窶」の意味・読み・例文・類語

やつ・れる【窶】

〘自ラ下一〙 やつ・る 〘自ラ下二〙
服装など、見たところがみすぼらしくなる。粗末な様子になる。
古今(905‐914)秋上・二〇〇「君しのぶ草にやつるるふる里は松虫のねぞかなしかりける〈よみ人しらず〉」
② 地味で人目につかない様子でいる。見栄えのしない服装になる。
※竹取(9C末‐10C初)「いと忍ひて、ただ舎人二人召しつぎとしてやつれ給て」
③ 喪服姿になる。
源氏(1001‐14頃)賢木「くろき御車のうちにて、ふぢの御たもとにやつれ給へれば」
病気心労、積もる年齢などのために、肉体が衰え、見苦しくなる。やせ細る。憔悴(しょうすい)する。
※源氏(1001‐14頃)柏木「いたうやせ衰へて、御髭なども、とりつくろひ給はねば、しげりて、親の孝よりも、けにやつれ給へり」
⑤ 落ちぶれる。
※源氏(1001‐14頃)明石「いと、かくやつれたるに、あなづらはしきにやと」

やつれ【窶】

〘名〙 (動詞「やつれる(窶)」の連用形名詞化)
① 服装を粗末なものにすること。人目をしのぶために目立たない姿になること。
※源氏(1001‐14頃)夕顔「この頃の御やつれに設け給へる狩の御装束着かへなどして出で給ふ」
苦労や病気、積もる年齢などのために、衰え、肉が落ちて、みすぼらしくなること。また、そのような様子。憔悴(しょうすい)
※源氏(1001‐14頃)朝顔「齢のつもりにはおもなくこそなるわざなりけれ。世に知らぬやつれを」
品位を落とすことになるもの。汚点となるもの。
※源氏(1001‐14頃)若菜下「ただ一言物越しにて聞え知らす許は、何ばかりの御身のやつれにかはあらむ」

やつ・る【窶】

〘自ラ下二〙 ⇒やつれる(窶)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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