日本大百科全書(ニッポニカ) 「立ちくらみ」の意味・わかりやすい解説
立ちくらみ
たちくらみ
長時間立っていたり、坐位(ざい)からいきなり立ったりしたとき、血圧に変動がおこってくらくらするような症状をいい、位置の平衡感覚の異常による「めまい」とは区別される。寝ていて突然起きたり立ったりすると、血圧の低下を防ぐ機構が作動せず、著明な低血圧と全身とくに脳の血流の減少による症状が現れ、立ちくらみがみられることが多い。こうしたものを一般に起立性低血圧といい、小児の場合は起立性調節障害とよぶ。血圧の調節がうまくできない老人や小児のほか、更年期障害、月経や妊娠時など女性だけにみられるものもある。老人では椎骨(ついこつ)動脈硬化によるものがあり、また薬の副作用によるものもある。治療としては、原因となる異常の除去が第一であるが、自律神経剤や精神安定剤、昇圧剤なども用いられる。
[山口規容子]