更年期症状が重い状態を指す。ホルモン低下に加え加齢などの身体的因子、性格などの心理的因子、職場の人間関係などの社会的因子が複合的に関与して発症すると考えられている。症状は
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出典 共同通信社 共同通信ニュース用語解説共同通信ニュース用語解説について 情報
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出典 法研「EBM 正しい治療がわかる本」EBM 正しい治療がわかる本について 情報
更年期は、まさに性成熟期から生殖不能期への移行期(45~55歳)にあたり、平均51歳で訪れる閉経以降の30年余の生活をいかに健康に過ごすかを考える、人生の節目といってもよいでしょう。更年期障害は、この時期に生じる
更年期になると、加齢に伴う卵巣機能の低下によって、卵巣から分泌される女性ホルモン(エストロゲン)の量が減り、これが脳の
この自律神経失調症状と精神症状が相互に影響し合って、更年期障害の病状を複雑にしています。
症状は、表10に示すように、自律神経失調症状、精神症状、その他の症状に分けられます。通常、自律神経失調症状と精神症状は混在しています。
自律神経性更年期障害の代表的なものは、ホットフラッシュ(顔ののぼせ、ほてり)、発汗などの症状です。ホットフラッシュは閉経女性の40~80%に認められ、1~数年間続き、長期にわたる場合もあります。しかし、そのうち治療を要するものは25%とされています。
精神症状としての憂うつは、閉経女性の約40%に認められています。また、最近の調査では、日本の更年期女性の特徴として、ホットフラッシュよりも肩こりや憂うつを訴える頻度が高いことがわかっています。
更年期障害の疑いがある時は、専門医の診察を受け、まず血液ホルモン検査をすることをすすめます。
更年期障害は、卵巣機能がまだ変動している時期にみられるもので、一定の時期が過ぎて卵巣機能が完全に低下し、全身の状態がホルモンの変化に慣れてくれば、自然によくなると考えられています。そのため、一度だけの血液ホルモン検査では、エストロゲンが正常な値を示すことがあります。更年期と診断されるためには、老化した卵巣を活発にしようとして
また、更年期障害は、甲状腺や循環器などの内科疾患、整形外科疾患、脳神経外科疾患、耳鼻科疾患あるいはうつ病などの精神科疾患と類似した症状を示すことがあるので、複数の診療科の受診が必要になることもあります。自分勝手に判断し、市販薬や民間療法に頼るのは禁物なので、正しい診断を受けてください。
更年期障害の症状の程度は、クッパーマン更年期指数、簡略更年期指数などの質問用紙に答える方法によって、客観的に評価することができます。
更年期障害の程度は、本人の性格、精神状態、周囲の環境などから影響を受けます。まずは、生活習慣・生活環境の改善を図るのが基本です。
ホットフラッシュ(のぼせ、ほてり)、発汗などを中心とする自律神経失調症状には、エストロゲンによるホルモン補充療法(HRT)や自律神経調整薬などによる薬物療法が中心になります。自律神経性更年期障害は、ホルモン補充療法により約1カ月で症状の改善をみることができます。
一方、社会心理的要因により誘発されると考えられている精神症状性更年期障害に対しては、向精神薬を主体にした薬物療法と精神療法が有効ですが、精神症状のなかにはエストロゲンの欠乏に由来するものもあり、ホルモン補充療法が効果的な場合もあります。
平均5年以上ホルモン補充療法を行っている女性では、行っていない女性と比べて乳がんの発症リスクが1.3~1.4倍高くなります。しかし、定期的な検診が行われているためか、ホルモン補充療法に関連する乳がんは比較的早期の予後のよいタイプが多く、乳がんによる死亡率はとくに増えていません。
通常、子宮を摘出している女性には、エストロゲン製剤だけを単独で用います。子宮がある女性には、子宮内膜がんの発症を予防するため、エストロゲンとともに
黄体ホルモン製剤を周期的に投与すると、月経に似た出血を繰り返しますが、続けて用いていると、次第に不正出血はなくなります。
現在、次第に広まりつつある低用量のホルモン補充療法では、同等の効果をあげながら不正出血の頻度は減っています。現在のところ、更年期障害に対するホルモン補充療法は、定期的な子宮がん・乳がん検診のもとで数年間をめどに行うのは問題ないと考えられます。
矢野 哲
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報
更年期climactericとは性成熟期から老年期への移行期をいい,したがって男女ともに存在する。しかし,男性での移行はきわめて緩やかで,目だった変化や障害がほとんどないのに対し,女性では,排卵や月経の〈みだれ〉や停止としてはっきりと認識できるばかりでなく,多くは後述のように,自律神経系の失調などの障害を訴える。これが更年期障害である。更年期障害は肉体的変化だけでなく,子どもの成長といった家庭環境の変化などからくる疎外感など,心理的背景が誘因となっていることも少なくない。
女性の平均寿命が80歳をこえた今日でも,閉経年齢(月経が閉止する年齢)は昔とたいして変わらず,平均48.9歳である。しかし個人差は40~55歳と大きい。この閉経年齢の前後が更年期で,閉経周辺期とも呼ばれ,閉経前期と閉経後期に分けられる。閉経は卵巣から分泌される女性ホルモンがほとんどなくなったために起こるもので,実は卵巣ではそれ以前に排卵が停止している。したがって,基礎体温を測定するなどして排卵の停止を知れば,更年期の開始をもっと早くかつ正確に知ることができる。
更年期障害は,自律神経(血管運動神経)障害,精神神経症状,性器症状などに大別される。これらのうち,最もしばしば訴えられ,患者を悩ますものが,血管運動神経障害vasomotor symptom(自律神経失調症)である。これは,更年期に起こる卵巣ホルモンの減退が脳の自律神経の働きの失調をひき起こすためで,更年期障害が〈血の道〉症とも呼ばれる理由はここにある。血管運動神経障害の症状は,俗に〈冷えのぼせ〉と呼ばれる症状で,顔面は紅潮し,頭に血がのぼり,動悸が激しく,発作的に汗が流れる反面,手足や腰が冷えてしかたがない,というものである。これらは更年期障害の典型的な症状である。
精神神経症状では,いらいら,憂うつ,不安,記憶力や判断力の減退,頭痛,耳鳴り,不眠などや,手足のしびれ感,蟻走(ぎそう)感,瘙痒(そうよう)などの知覚異常があらわれる。性器症状とは,月経異常(希発・過少月経,頻発・過多月経),不正性器出血(月経以外の思わぬ時期に出血が起こり,出血が長く続いて止まらない),外陰,腟,子宮の萎縮などをいう。これらの障害は,更年期の女性の平均25%(10~40%)にみられるが,軽度の,なかば生理的ともみなせる症状を含めると,その数は75%にも達する。しかし残りの人たちにも脂質代謝の障害(高脂血症)や骨代謝の障害(骨多孔症)が起こっていることがあり,これらは目だたないので注意する必要がある。
更年期障害と診断するためには,卵巣機能の低下を証明するとともに,他の病変(癌,高血圧,糖尿病,貧血など)との区別が必要である。卵巣機能のうち,排卵の停止(無排卵症)は基礎体温を測定することによって知ることができる。卵巣ホルモン(エストロゲン)分泌の低下は腟細胞診によって知ることができる。腟細胞診は子宮癌との鑑別診断をするうえでも重要である。
更年期障害を訴える女性の約15%には心因性のものが含まれる。また一般に社会的・家庭的環境の複雑さは更年期障害を重くする。したがって更年期障害の予防と治療のためには,精神衛生環境を整備することが大切で,心的指導が必要である。症状がひどく治療が必要な場合には,更年期障害の本態がエストロゲン分泌の減退によるものであるところから,これを注射や内服などで補充すればよい。このとき少量の男性ホルモン(アンドロゲン)を併用すれば短期間(3ヵ月内外)で自律神経失調を是正することができる。血管運動神経障害を主とする自覚症状が改善されても,脂質代謝,骨代謝の障害の予防や治療のため,さらに長期にわたって,エストロゲン補充療法を行ったほうがよいことがある。
執筆者:倉智 敬一
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(今西二郎 京都府立医科大学大学院教授 / 2007年)
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