デジタル大辞泉
「更年期障害」の意味・読み・例文・類語
こうねんき‐しょうがい〔カウネンキシヤウガイ〕【更年期障害】
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更年期障害
更年期症状が重い状態を指す。ホルモン低下に加え加齢などの身体的因子、性格などの心理的因子、職場の人間関係などの社会的因子が複合的に関与して発症すると考えられている。症状は動悸や発汗、頭痛、疲れやすさ、意欲の低下など多岐にわたる。治療はまず生活習慣の改善や心理療法を試み、改善しなければ薬物療法としてホルモン投与、漢方薬服用がある。気分の落ち込みや不眠などの症状が重い場合は向精神薬も用いられる。
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こうねんき‐しょうがいカウネンキシャウガイ【更年期障害】
- 〘 名詞 〙 更年期であるために起こる自律神経症状を主とする症候群。間脳、卵巣、その他内分泌に関係のある臓器に老化が起こり、精神神経的要因が加わって、のぼせ、動悸(どうき)、血圧の動揺、めまい、神経過敏などの症状を呈する。
- [初出の実例]「周期的な頭痛と、吐気までを訴え、更年期障害といわれて」(出典:こども(1968)〈北杜夫〉三)
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「更年期障害」の解説
こうねんきしょうがい【更年期障害 Climacteric Disorder】
◎更年期におこる不定愁訴(ふていしゅうそ)
[どんな病気か]
更年期とは、妊娠可能な時期(生殖期(せいしょくき))から不可能な時期(非生殖期)に移行する期間をいい、一般的には40歳代後半から50歳代後半をさすことが多いのですが、非常に個人差があります。
この時期は、卵巣(らんそう)ホルモンの分泌(ぶんぴつ)状態が、成熟期から老年期へと変わる時期(閉経期(へいけいき))ですから、月経の異常がおこりやすくなると同時に、さまざまな身体的、精神的な違和感が現われやすくなります。
そして、更年期におこるこうした不定愁訴(コラム「不定愁訴とは」)を、更年期障害と呼んでいます。
[症状]
訴えられる症状はさまざまですが、頻度の高い順にあげると、疲労感、頭痛、頭重感(ずじゅうかん)、肩こり、腰痛(ようつう)、のぼせ(ほてり)、冷え、不眠などがあります。また、症状を現われる時期でみてみると、閉経前に多いのが、疲労、集中力低下、不安、忘れっぽさなどであり、閉経後に多いのは、のぼせ(ほてり)と発汗です。
[原因]
一般的には、更年期障害とは、更年期におこる卵巣機能の低下を契機として発症する、内分泌‐自律神経系の適応障害に基づく症候群といわれています。
人間のからだのはたらきは、自分の意志でできる機能(動物機能)と、自分の意志では動かせない機能(植物機能)に大別されます。このうち植物機能というのは、自律機能ともいわれ、私たちが意識しなくても、からだを保つために自然に調節してくれる機能です。そして、この機能には、ホルモンの分泌をつかさどる内分泌系と、内臓や各種の分泌腺(ぶんぴつせん)、血管などのはたらきを自動的に調節する役目をはたす自律神経系の2つの系統があります。
この2つの中枢(ちゅうすう)は、両者とも間脳(かんのう)にあり、お互い影響しあっています。したがって、卵巣機能(内分泌系)に異常がおこると、自律神経系にも異常がおこり、おのおのの支配下にある臓器のはたらきが悪くなることになり、自分の意志ではいかんともしがたい状態となります。
[検査と診断]
更年期障害を、更年期に発症する不定愁訴症候群としてとらえると、前述した卵巣機能の低下によるもののほかに、社会的・文化的な環境因子によるものや、個々の性格に基づく精神的・心理的なものなども考慮したうえで診断されなければなりません。
更年期障害が強く疑われる場合、医師はまず問診で、愁訴の発症時期や誘因を聞き、さらに、クッパーマンの更年期指数(不定愁訴の症状を指数化したもの)のような、客観的な数字として表わせる検査を行ないます。これによって、症状の種類や程度(重症度)が明らかとなります。
つぎにたいせつなのが、高血圧、低血圧、貧血、心疾患、甲状腺(こうじょうせん)疾患などの内分泌疾患や、仮面うつ病(コラム「仮面うつ病」)、うつ病、統合失調症(「統合失調症」)などの器質的疾患の有無の確認です。また、血液・尿検査、内診・細胞診・超音波検査などの婦人科一般検査、ホルモン測定(卵巣機能関連ホルモンなど)を行なうと同時に、婦人科だけでなく、内科や精神神経科の協力も必要になります。
その後、更年期障害であることが確定すれば、タイプを決定する目的で、精神状態・生活環境・職場の問題・生育歴・性生活などの生活背景調査が行なわれます。このとき、心理テストなども併用されます。
以上の検査によって、不定愁訴が心因性なのか、自律神経性なのか判断でき、さらに障害の程度まで確認することができます。
[治療]
更年期障害は、卵巣機能の衰えがきっかけとなって発症する病気ですから、治療としては、卵巣機能の低下によって不足したホルモン(エストロゲン)を補充することは意味のあることです。しかし、自律機能系の失調としてみた場合は、中枢のある間脳の機能の回復をはかる治療が必要となります。
したがって治療には、①ホルモン療法、②薬物療法(鎮静薬(ちんせいやく)の使用)、③心理療法(精神療法・説得療法)の3つの柱があるといえます。どれがいちばん必要な治療かは、各個人で異なるため、いろいろな検査により決定します。
治療においてもっともたいせつなことは、閉経後の人生(約30年間)を快適に生活できるよう、医師が十分配慮することです。対症療法的で、その場かぎりのものであってはなりません。
ホルモン療法 ホルモン補充療法ともいい、不足したホルモンを補う治療法です。いろいろなホルモン剤と使用方法がありますので、治療することによる利益と不利益をよく考え、決定されます。
自律神経調整剤 自律神経失調型の不定愁訴に使用されます。
精神安定剤 心身症型の愁訴がある場合に使用されます。
漢方薬 副作用のない万能薬と思っている人が非常に多いのですが、効かないばかりか、副作用が出ることもあり、体質や症状に適した漢方薬(人によって異なる)を選択することがたいせつです。
心理療法 心身症型の人が対象となりますが、婦人科の医師が苦手とする分野であり、精神神経科の助けが必要となることがあります。更年期障害は、精神的要素に大きく影響されますので、心理療法は重要な位置を占めます。
[日常生活の注意]
一般に更年期は、人間だれでも(男も女も)経験する時期であり、身体的にだけではなく、心理的・社会的にも、ライフサイクルのうえで大きな変化の生じる時期です。
子どもの受験や巣立ち、夫の定年、親の介護、自分の老化の自覚、夫婦問題の深刻化など、さまざまなライフイベントがおこってきますが、これらから受けるストレスをセルフコントロールできるよう、自分で努力する必要があります。孤立することなく、趣味のサークルに参加するのもよい方法の1つでしょう。自分の人生です。積極的に楽しんではいかがでしょうか。
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「更年期障害」の解説
こうねんきしょうがい【更年期障害】
《どんな病気か?》
〈ホルモンのアンバランスが体のバランスも乱す〉
女性は体の成長にあわせて、思春期、成熟期、更年期(こうねんき)、老年期とわけられます。
体が成熟して女性の機能として安定した時期をすごし、妊娠や出産を経験すると、いずれ閉経(へいけい)の時期を迎えます。この時期を更年期といい、これまで活発に女性としての役割をはたしてきた卵巣の機能も衰えてきます。
卵巣は下垂体(かすいたい)から分泌(ぶんぴつ)される卵胞刺激(らんぽうしげき)ホルモンや黄体(おうたい)ホルモンに反応して機能しますが、衰えた卵巣は、ホルモンに対する感受性も弱まり、卵巣を機能させようと、下垂体からは過剰なホルモンが分泌されるようになります。
卵巣ではエストロゲン(卵胞ホルモン)が分泌されていますが、同時に、その分泌も減少していきます。
この変化は、年齢とともに生じる自然の現象といえますが、ホルモン分泌というのはつねにバランスをとりながら、全身の状態を正常に保っているもので、下垂体から過剰にホルモンが分泌されると、体全体のバランスを乱してしまうのです。
〈症状は、個人差が大きい。イキイキとした暮らしで解消〉
このようなしくみによって、更年期の女性にみられる体のバランスのくずれが更年期障害です。自律神経失調症(じりつしんけいしっちょうしょう)の一種と考えられており、症状も似ていますが、さまざまな不定愁訴(症状)が生じます。ほてり、頭痛、頭重(ずじゅう)、肩こり、腰痛、めまい、動悸(どうき)、発汗、のぼせ、冷え、食欲不振など直接体が感じるものもありますし、イライラや精神的な不安を感じたり、躁(そう)うつ状態をくり返したり、感情の起伏がはげしくなるなど、精神的な症状がみられることもあります。
症状の現れ方や程度は人それぞれです。更年期を迎える時期は個人差があり、初経を早く迎えた人は遅く、遅かった人や月経異常で悩まされた人などは早いともいわれており、障害が現れる時期も異なるようです。また、さまざまな不定愁訴がすべてでるわけではなく、だいたい2つから3つの症状がでることが多いようです。
ただ、社会生活や家庭環境、また栄養状態なども更年期障害に大きく影響するともいわれているため、ますます個人差が大きいことになるようです。症状の改善には、ホルモン剤を中心にした治療が行われることもあります。
しかしたいせつなのは日常生活をイキイキとすごすことです。ふだんから規則正しい生活を心がけ、疲れやストレスをためないようにする、趣味や生きがいを見つけ、積極的に人生を楽しむ、更年期はだれにでも訪れ、更年期障害はだれもが経験することだと気持ちを楽にもつなどして乗り切りましょう。
《関連する食品》
〈ビタミンE豊富なナッツでホルモンバランスを正常化〉
○栄養成分としての働きから
原因となるホルモンのアンバランスを少しでも正常化させるには、ビタミンEが有効です。ナッツ類に多く含まれますが、なかでも代表的なアーモンドやピーナッツをお茶の時間に食べたり、料理に使うなどして十分に補給しましょう。ビタミンEは抗酸化作用があるので、積極的にとりたい栄養素です。
〈きなこ、納豆などでイソフラボンを補給する〉
また、減少するエストロゲンを食べものによって補給することもできます。植物のなかにはエストロゲン様物質を含むものがあり、のぼせの改善、自覚症状ではわからない骨密度の減少や腟(ちつ)の組織が薄くなるのを防ぐのに効果があります。植物エストロゲンの補給には、イソフラボンを含むダイズやダイズ製品が効果があります。
現れるそれぞれの症状によって、より効果的な食品を選ぶことも必要です。イライラや精神的な不安、ストレスなどを取り除くには、ビタミンC、カルシウム、マグネシウムなどが有効です。
ビタミンCはストレス対抗ビタミンとも呼ばれていますし、肌を蘇(よみがえ)らせる効果もあります。ビタミンCはブロッコリーに多く含まれていますが、あわせてカロテンも豊富で、皮膚や粘膜(ねんまく)を保護してくれます。また、シジミもビタミンB1とカルシウムが豊富です。
倦怠感(けんたいかん)や疲労感を取り除くにはニンニクが最適です。ニンニクに含まれるスコルジンは、体内の栄養素を燃焼させ、エネルギーにかえるため、体を元気にします。またニンニクには、アリシンも含まれており、胃腸の働きを活発にして食欲不振を解消します。
○漢方的な働きから
不定愁訴を解消するには、それぞれの症状に対する薬効をもつ食材を利用するのも1つの方法です。
たとえば、イライラが続く人はシソやレンコン、ユリ根が効果的です。いずれも興奮状態や神経の高ぶりを鎮める作用があります。
動悸や肩こり、ほてり、めまいなどの症状がある人は、サフラン茶を飲んでみるといいでしょう。サフラン茶は、さまざまな体の不調を緩和する効果があり、更年期障害で起こる複合的な症状にも効果があります。また、ヨモギや当帰(とうき)の煎(せん)じ汁もあたたかいまま飲むと、更年期障害に効果があります。
○注意すべきこと
ホルモンのアンバランスにより、閉経とともにふとってしまう、コレステロール値が上がってしまう、といった現象が起こることもあります。
マーガリンやバター、脂身(あぶらみ)の肉類などのほか、脂質を多く含んでいるクッキーやケーキ、パイなどのお菓子類をひかえ、食物繊維を多くとりましょう。
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更年期障害 (こうねんきしょうがい)
climacteric disturbance
更年期climactericとは性成熟期から老年期への移行期をいい,したがって男女ともに存在する。しかし,男性での移行はきわめて緩やかで,目だった変化や障害がほとんどないのに対し,女性では,排卵や月経の〈みだれ〉や停止としてはっきりと認識できるばかりでなく,多くは後述のように,自律神経系の失調などの障害を訴える。これが更年期障害である。更年期障害は肉体的変化だけでなく,子どもの成長といった家庭環境の変化などからくる疎外感など,心理的背景が誘因となっていることも少なくない。
閉経期menopause
女性の平均寿命が80歳をこえた今日でも,閉経年齢(月経が閉止する年齢)は昔とたいして変わらず,平均48.9歳である。しかし個人差は40~55歳と大きい。この閉経年齢の前後が更年期で,閉経周辺期とも呼ばれ,閉経前期と閉経後期に分けられる。閉経は卵巣から分泌される女性ホルモンがほとんどなくなったために起こるもので,実は卵巣ではそれ以前に排卵が停止している。したがって,基礎体温を測定するなどして排卵の停止を知れば,更年期の開始をもっと早くかつ正確に知ることができる。
更年期障害の分類
更年期障害は,自律神経(血管運動神経)障害,精神神経症状,性器症状などに大別される。これらのうち,最もしばしば訴えられ,患者を悩ますものが,血管運動神経障害vasomotor symptom(自律神経失調症)である。これは,更年期に起こる卵巣ホルモンの減退が脳の自律神経の働きの失調をひき起こすためで,更年期障害が〈血の道〉症とも呼ばれる理由はここにある。血管運動神経障害の症状は,俗に〈冷えのぼせ〉と呼ばれる症状で,顔面は紅潮し,頭に血がのぼり,動悸が激しく,発作的に汗が流れる反面,手足や腰が冷えてしかたがない,というものである。これらは更年期障害の典型的な症状である。
精神神経症状では,いらいら,憂うつ,不安,記憶力や判断力の減退,頭痛,耳鳴り,不眠などや,手足のしびれ感,蟻走(ぎそう)感,瘙痒(そうよう)などの知覚異常があらわれる。性器症状とは,月経異常(希発・過少月経,頻発・過多月経),不正性器出血(月経以外の思わぬ時期に出血が起こり,出血が長く続いて止まらない),外陰,腟,子宮の萎縮などをいう。これらの障害は,更年期の女性の平均25%(10~40%)にみられるが,軽度の,なかば生理的ともみなせる症状を含めると,その数は75%にも達する。しかし残りの人たちにも脂質代謝の障害(高脂血症)や骨代謝の障害(骨多孔症)が起こっていることがあり,これらは目だたないので注意する必要がある。
更年期障害の診断
更年期障害と診断するためには,卵巣機能の低下を証明するとともに,他の病変(癌,高血圧,糖尿病,貧血など)との区別が必要である。卵巣機能のうち,排卵の停止(無排卵症)は基礎体温を測定することによって知ることができる。卵巣ホルモン(エストロゲン)分泌の低下は腟細胞診によって知ることができる。腟細胞診は子宮癌との鑑別診断をするうえでも重要である。
予防と治療
更年期障害を訴える女性の約15%には心因性のものが含まれる。また一般に社会的・家庭的環境の複雑さは更年期障害を重くする。したがって更年期障害の予防と治療のためには,精神衛生環境を整備することが大切で,心的指導が必要である。症状がひどく治療が必要な場合には,更年期障害の本態がエストロゲン分泌の減退によるものであるところから,これを注射や内服などで補充すればよい。このとき少量の男性ホルモン(アンドロゲン)を併用すれば短期間(3ヵ月内外)で自律神経失調を是正することができる。血管運動神経障害を主とする自覚症状が改善されても,脂質代謝,骨代謝の障害の予防や治療のため,さらに長期にわたって,エストロゲン補充療法を行ったほうがよいことがある。
執筆者:倉智 敬一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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更年期障害【こうねんきしょうがい】
更年期に発生する各種の障害。卵巣機能の減退,脳下垂体・副腎などの機能障害,自律神経系統の失調などによる。症状は,のぼせ,熱感,発汗,動悸(どうき),耳鳴り,腰痛,肩こり,めまい,頭痛,不眠,記憶力減退,神経痛,疲労感など多種多様で,幾つかの症状が重複することが特徴。老化による生理機能の変調が原因であるが,老化に対するノイローゼが症状を悪化させる。治療は自律神経機能の失調回復を主として,ホルモン療法,自律神経薬,向精神薬,心理療法などのほか,眼鏡不適合による障害がある場合もあるので,眼科の検診を受けることも必要。
→関連項目冷え症|ペインクリニック|ホルモン補充療法|老人病
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
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更年期障害
更年期にみられる精神的,身体的障害の総称.心悸亢進,めまい,躁鬱状態などがみられる場合が多い.
出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報
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