立石野(読み)たていしの

日本歴史地名大系 「立石野」の解説

立石野
たていしの

松前城下の西端、けわい坂を上り、折戸おりと坂を下るまでの間の野原をさす。享保十二年所附では「けわい坂」と折戸の間に記される。「蝦夷喧辞弁」に「立石野といふ原に出たり。藤巻石といふ石あり、かゝる石どものたてるより野の名とも呼ならし、いつの頃ならん、藤のいと多くはひまつはりしとぞ」と名称の由来が記される。松浦武四郎も「海岸ニ大なる自然の弐丈計なる岩石有。野の名も是より起るか」とする。「樹木少しもなし」という風情であった(「蝦夷日誌」二編)。けわい坂の「けわい」は化粧の意で、シャクシャインの戦に関連して「津軽一統志」に坂名がみえる。けわい坂・弁才天・赤平あかひらと続いており、御髪おぐし(二七四・一メートル)に源を発し松前湊に注ぐ化粧けしよう川を渡って立石野へ上る坂道をさすとみられる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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