テーブルと椅子(いす)を使って行われる茶道点前(てまえ)の一つの形態。立礼式ともいい、点前の形式から卓子点(じょくしだ)てともいう。立礼による茶法が初めて実用化されたのは、1872年(明治5)の京都博覧会においてである。裏千家11世玄々斎千宗室(げんげんさいせんのそうしつ)(1810―77)が考案したもので、点前は点茶盤(てんちゃばん)といわれるテーブルに風炉(ふろ)や水指(みずさし)、杓立(しゃくたて)、建水(けんすい)などを飾り置いて行い、円椅(えんい)といわれる丸椅子に腰掛けて茶を点てる。客の前には喫架(きっか)といわれる卓子が置かれ、同じく円椅に腰掛けて茶を喫するようになっている。初めは生活の洋風化に応じて考案されたものであったが、しだいに定着し、現代では各流派によってさまざまの立礼卓や立礼棚がくふうされており、庭園を使っての茶筵(ちゃえん)「野点(のだて)」などではかならずといってよいほど使われている。その点前は各流ですこしずつ異なるが、だいたい風炉の薄茶(うすちゃ)点前を基本として考案されている。
[筒井紘一]
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…身分の高い人の通行などに際して地べたにひざまずいて礼をすること。跪礼(きれい)は屋の内外を問わず日本古来の礼法で,《魏志倭人伝》に〈あるいは蹲(うずくま)り,あるいは跪(ひざまず)き,両手地により恭敬をなす〉とあり,大化改新後,跪礼を廃して立礼を採用(天武紀11年9月勅)したが行われなかった。屋外での跪礼すなわち土下座は《弘安礼節》にもみえ,江戸時代には大名の通行に際して庶民は土下座をさせられた。…
… 以上のように裏千家流の点前大系は明解かつ論理的に構築され,その教授内容も豊富なことが特徴とされる。たとえば,椅子点前(立礼)は1874年,裏千家11世玄々斎によって考案され,今日では各流派で一般化されている。さらに前記の段階的な点前を研鑽の縦の軸とした場合,横軸としての茶事を展開させることができる。…
※「立礼」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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