立込める(読み)タテコメル

デジタル大辞泉 「立込める」の意味・読み・例文・類語

たて‐こ・める【立(て)込める/立て籠める/閉て込める】

[動マ下一][文]たてこ・む[マ下二]
中にいっぱいに満ちる。たちこめる。「線香のかおりが―・める」
戸・障子などをきっちりとしめきる。「雨戸を―・める」
辺りを取り囲んでとじこめる。たてこむ。
松林の中は濃く水蒸気を―・めたまま」〈風葉青春

たち‐こ・める【立(ち)込める/立ち籠める】

[動マ下一][文]たちこ・む[マ下二]霧や煙などがその場所一面に満ち広がる。「室内に甘い香りが―・める」

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「立込める」の意味・読み・例文・類語

たて‐こ・める【立込・閉込・立籠】

  1. [ 1 ] 〘 他動詞 マ行下一段活用 〙
    [ 文語形 ]たてこ・む 〘 他動詞 マ行下二段活用 〙
    1. 戸や障子などをしめきる。
      1. [初出の実例]「たてこめたる所の戸、すなはち、ただ開きに開きぬ」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))
    2. とり囲んで、閉じ込める。(部屋などに)こもらせる。
      1. [初出の実例]「刀を抜て忠明を立籠めてさむとしければ」(出典今昔物語集(1120頃か)一九)
      2. 「寝所や梅の匂ひをたて籠めん〈大丹〉」(出典:俳諧・続猿蓑(1698)春)
  2. [ 2 ] 〘 自動詞 マ行下一段活用 〙たちこめる(立込)
    1. [初出の実例]「此夜は霧が深く立てこめてゐて」(出典:まぼろし(1898)〈国木田独歩〉渠)

たち‐こ・める【立込・立籠】

  1. [ 1 ] 〘 自動詞 マ行下一段活用 〙
    [ 文語形 ]たちこ・む 〘 自動詞 マ行下二段活用 〙 霧、煙などが一面に満ちおおう。たちおおう。
    1. [初出の実例]「河霧のたちこめつれば高瀬舟わけ行く棹の音のみぞする〈藤原行家〉」(出典:金葉和歌集(1124‐27)秋・二四〇)
    2. 「立ちこむる関路も知らぬ夕霧に猶吹き越ゆる須磨の秋風〈俊成女〉」(出典:新後拾遺和歌集(1383‐84)秋上・三四六)
  2. [ 2 ] 〘 他動詞 マ行下一段活用 〙
    [ 文語形 ]たちこ・む 〘 他動詞 マ行下二段活用 〙 立ちふさがりとじこめる。とり囲む。また、霧、煙などが満ち、つつみ込む。
    1. [初出の実例]「霞にたちこめられて、筆のたちどんしられねば」(出典:蜻蛉日記(974頃)下)

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