第一性質・第二性質(読み)だいいちせいしつだいにせいしつ(その他表記)primary qualities, secondary qualities

日本大百科全書(ニッポニカ) 「第一性質・第二性質」の意味・わかりやすい解説

第一性質・第二性質
だいいちせいしつだいにせいしつ
primary qualities, secondary qualities

イギリスの哲学者ロック認識論的用語。第一性質は認識とは独立客観に備わる性質で、延長、固体性、数などがあるが、対照的に第二性質は「対象そのものにおいては、第一性質によりわれわれのうちに多様な感覚を生ずる力」にすぎない。つまり、色、音、香り、味のように対象それ自体にはなく、認識と相対的な主観的性質である。ロックはこの区別を、ガッサンディ、ボイルらの当時の自然科学者から継承した。第一性質に固体性を数えたことはデカルトとの相違である。

[杖下隆英]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「第一性質・第二性質」の意味・わかりやすい解説

第一性質・第二性質
だいいちせいしつ・だいにせいしつ
primary and secondary qualities

性質に関する J.ロックの区別 (『人間悟性論』第2巻第8章) 。第一性質とは堅さ,延長,形,運動静止,数などをいい,第二性質とは色,音,味覚などをいう。前者は客観的,数学的,物理学的であり,後者は主観的,心理学的な性質である。ロックは前者を物質本質をなすものと考えていた。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

貨幣 (名目) 賃金額を消費者物価指数でデフレートしたもので,基準時に比較した賃金の購買力を計測するために用いられる。こうしたとらえ方は,名目賃金の上昇が物価の上昇によって実質的には減価させられている...

実質賃金の用語解説を読む