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味覚 みかく gustatory sense

7件 の用語解説(味覚の意味・用語解説を検索)

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

味覚
みかく
gustatory sense

水溶性の物質の刺激作用が,主として舌の表面に分布する味覚受容器 (味蕾) に与えられることにより生じる感覚。日常の味覚の体験は,嗅覚,視覚,温覚,圧覚,触覚などの感覚との混合から成るが,基本的な味 (味覚質) は,塩辛さ,すっぱさ,甘さ,苦さの4種とされる。

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デジタル大辞泉の解説

み‐かく【味覚】

味を感じる感覚。唾液(だえき)に溶けた化学物質が主に舌を刺激することによって起こり、甘さ・酸っぱさ・塩辛さ・苦さを感じ取る。「―をそそる」「―の秋」
[補説]近年、甘味、酸味、塩味、苦味と並んで「うまみ」が五つめの味とされる。

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百科事典マイペディアの解説

味覚【みかく】

化学感覚の一種。陸生動物では食物中に含まれる化学的成分が,魚類など水生動物では水に溶けた化学物質が味覚受容器を刺激し,味神経を通って味覚中枢に伝えられて生ずる。

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栄養・生化学辞典の解説

味覚

 味覚受容器によって感ずる感覚.甘味,酸味,苦味,かん(鹹)味,うま味を基本味とする.舌の味蕾が信号を受容し,その信号は神経系を刺激して脳へ伝えられる.

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世界大百科事典 第2版の解説

みかく【味覚 taste sensation】

味を感じる感覚をいう。化学感覚の一種。空気を呼吸する動物では,味覚は口腔内へ摂取した食物や水の性質を判断する感覚であり,一方遠隔性の化学受容は嗅覚(きゆうかく)で行われる。水を呼吸する動物では,両者はともに水に溶存する物質の受容器であり,魚類では,アミノ酸に対して味覚も嗅覚もともに鋭敏であることが知られている。したがって魚類は味覚も遠隔性の感覚として働いていると思われる。ただし,味覚と嗅覚を伝える神経と刺激閾値(いきち)には大きな差がある。

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大辞林 第三版の解説

みかく【味覚】

ものの味を認知する感覚。主として舌にある味蕾みらいが唾液に溶けた化学物質を刺激として受容することで生ずる。甘い・塩からい・酸っぱい・苦いの四種の基本感覚がある。食味は味覚のほか,嗅覚や触覚,温度感覚などが関係する。 〔「哲学字彙」(1881年)に英語 taste の訳語の一つとして載る〕
[句項目]

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

味覚
みかく
taste sensationgustatory sensationgustation

味覚器によって味溶液が検知された結果、生起される感覚を味覚という。味覚は単に飲食物の選択や享楽にのみ意義があるのではなく、生命維持のうえからも重要である。副腎(ふくじん)を摘出されたネズミは、血中のNaCl(塩化ナトリウム)濃度が低下するため、NaClを選択的に摂取する。また、味神経を切断すると、NaClの選択的摂取は停止し、ネズミはまもなく死んでしまう。ヒトの新生児は、すでに味質を識別する能力をもち、甘味物質は摂取するが、苦味や酸味物質は拒否する。味覚は唾液(だえき)分泌、胃液分泌、膵液(すいえき)分泌や胆汁(たんじゅう)分泌などの調節に関与し、内部環境の恒常性維持のうえからも生物学的意義がある。[佐藤俊英]

基本味

食物によっておこる味覚は多種多様のようであるが、それはいくつかの基本味(原味)から構成されると考えられている。基本味は甘味、酸味、苦味および塩味(えんみ)(鹹味(かんみ))の四つである。ドイツの心理学者ヘニングH. Henningは、4種の基本味を四面体の頂点に置き、種々の味はその面上または内部の1点で表現できると考えた(1921)。これを「味覚の四面体」という。食物を味わうときは、味覚のみならず、嗅覚(きゅうかく)、触覚、温度感覚なども関与するが、これらの総合した感覚を「風味」という。
 甘味物質はOH基(ヒドロキシ基)をもつ糖類、アルコール、グリセロールなどに多いが、なかには、サッカリンのようにOH基をもたないものにもある。甘味物質には共通して水素供与基と水素受容基が存在し、互いに2.5~4オングストローム離れているという。酸味は水素イオンの味であるが、陰イオンも影響を与えている。同一水素イオン濃度(pH)でも、酸の強さは 酢酸>ギ酸>乳酸>硝酸>塩酸 の順となる。苦味物質はMgCl2(塩化マグネシウム)などの無機化合物に多く、有機化合物では、ブルシン、カフェインなどのアルカロイドが代表的なものである。なお、苦味物質と化学構造との関係は不明である。塩味を有する代表的塩はNaClである。NaCl、KCl(塩化カリウム)、NaI(ヨウ化ナトリウム)などは、それぞれに味が異なるが、これは、塩味が塩の陽イオンと陰イオンの両者に依存するためである。
 味覚はおもに舌面でおこるが、ほかに軟口蓋(なんこうがい)、咽頭(いんとう)、喉頭(こうとう)でもおこる。水と区別できるある味物質の最小濃度を「検知閾(いき)」、味質を感知しうる最小濃度を「認知閾」という。ヒトの舌面や軟口蓋といったそれぞれの部位では、四基本味物質に対する感受性には差がある。アメリカの心理学者コリングズV. B. Collingsは、1974年、「塩味と甘味の閾値は舌先部でもっとも低く、酸味は舌縁部でもっとも低く、そして、苦味は軟口蓋でもっとも低い。しかし、刺激濃度を増すといかなる部位にも四基本味が生じる」という測定結果を発表している。フェニルチオカバミド(PTC)は苦味物質であるが、少数の人には高濃度で初めて苦味をおこす。PTCおよび関連物質で感受性の低い人を「PTC味盲(みもう)」という。日本人には約10%みられ、メンデルの劣性遺伝をする。味覚閾値は味溶液の温度で変化する。また、最低の閾値を示す温度は味質で異なるが、だいたい22~32℃である。[佐藤俊英]

味覚の受容器

味覚の受容器(味(み)受容器)は味(み)細胞である。昆虫の味細胞は肢(あし)(ふせつ)や口器、触角などにある感覚毛に含まれている。脊椎(せきつい)動物の味細胞は味蕾(みらい)の中にあり、一般に口腔(こうくう)の舌、軟口蓋、咽頭、喉頭にみられるが、魚類では体表やひげにもみられる。哺乳(ほにゅう)動物では、味蕾は口腔内に集まり、おもに舌に点在する茸状(じじょう)(きのこ状)乳頭、葉状(ようじょう)乳頭、および有郭乳頭にみられる。[佐藤俊英]

味覚の伝達経路

味覚を伝達する神経は、顔面神経(脳神経の)、舌咽神経(同じく)および迷走神経(同じく)である。舌の前3分の2部の味蕾からの求心神経線維は、舌神経および鼓索(こさく)神経を経由して顔面神経に達する。舌の後ろ3分の1部の味蕾は舌咽神経が支配し、下咽頭や喉頭蓋の味蕾は迷走神経が支配する。軟口蓋の味覚は顔面神経の分枝の大浅錐体(だいさいすいたい)神経によって顔面神経に伝えられる。これらの三つの神経は延髄の孤束核(こそっかく)でシナプス(神経接合部)をつくる(図A)。ついで第二次ニューロンは同じ側の内側毛帯に加わり、視床後内側腹側核(視床の味覚野)に入って第三次ニューロンに切り替わったあと、大脳皮質味覚野(前頭弁蓋(べんがい)部)に至るというのが従来の味覚伝達の定説であった。しかし最近のラット、ハムスター、ネコ、ウサギなどの研究によると、延髄の孤束核と視床の味覚中継核との間の橋(きょう)背側部の結合腕に味覚中継核(橋味覚野)のあることがみいだされている。この橋味覚野からの第三次ニューロンは、視床を経由して大脳皮質に行くものと、視床に至らず、前頭部腹側の扁桃核(へんとうかく)、分界条、視床下部などに投射するものとがある(図B)。前者の経路は味を判別する認識性投射経路であり、後者の経路は飲食物の摂取や忌避行動を引き起こす情動的判断を下す経路と考えられる。なお、サルやおそらくヒトの場合は、孤束核からの味覚性ニューロンは直接視床の味覚中継核に行き、さらにここから大脳皮質味覚野の前頭弁蓋部に投射すると思われる。[佐藤俊英]

味質の識別機構

味質の強さを伝える神経情報は味神経のインパルス頻度である。しかし、単一味細胞の多くは四基本味液の複数に応答(受容器電位を発生)するので、各味質の情報を専用に運ぶ味細胞は存在しない。また、第一次味覚ニューロンや延髄・橋・視床・大脳皮質の味覚中枢ニューロンの応答性を比較してみると、低次から高次のニューロンに移るにつれて各種味刺激に対するニューロンの選択的感受性が増大するという事実も認められない。つまり、すべての部位で単一ニューロンは多様な感受性を示すわけである。
 アメリカの生理学者エリクソンR. P. Ericksonらは「味質情報は低次ニューロンから高次ニューロンのすべてにおいて、多数のニューロンの興奮の空間的パターンによって伝えられる」という考えを提唱している(1965)。この味質の相似した物質は相似した興奮パターンをつくるという考えは「アクロス・ニューロン応答パターン説across-neuron response pattern theory」とよばれる。他方、味覚性ニューロンは、四基本味液のいずれの液に最大応答を示すかを基準として4群に分類され、四基本味質の情報はそれぞれに独立した4種類の神経線維のチャンネルを通って伝達されるという考えも出されている。これを「固定ライン説」という。この考えに基づいて分析した結果、末梢(まっしょう)から大脳皮質に至るまで、各味質には、それぞれ対応する興奮伝達チャンネルが存在していることが明らかとなった。また、大脳皮質味覚野内では、各チャンネルに対応する投射部位は相対的に異なることもみいだされている。したがって、多種多様な味の識別機序(メカニズム)については、アクロス・ニューロン応答パターン方式と固定ライン方式との両方が関与するとするのが妥当であろう。[佐藤俊英]
『栗原堅三著『味覚』(1978・東京大学出版会) ▽佐藤昌康編『味覚の科学』(1981・朝倉書店)』

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世界大百科事典内の味覚の言及

【味】より

…飲食物などが舌の味覚神経に与える感じ。その知覚についてのメカニズムは〈味覚〉の項目を参照されたい。…

【化学感覚】より

…嗅覚や味覚のように物質の化学作用が刺激となって生じる感覚で,一般に脊椎動物では味覚と嗅覚がこれに含まれる。陸生の動物のうち,無脊椎動物には脊椎動物の味覚器や嗅覚器に直接対応する感覚器がないが,これらの動物でも,刺激源から刺激物質の分子が空中を伝播(でんぱ)してきて動物に応答を起こさせる遠隔化学感覚を嗅覚,刺激物が直接動物に接触したときに動物に応答を起こさせる接触化学感覚のうち摂食に関係するものを味覚と定義できる。…

【果物】より

… 一方,オランダを中心にした16~17世紀の静物画は花と果物を好んで取り上げ,多くの寓意を生みだした。まず五感の寓意として,果物は魚とともに味覚を表すものとされ,四季の象徴としては夏と秋,また四大のうちでは地の表現に用いられた。大きく描かれた果物,とくにレモンやオレンジは聖母マリアを表すともいわれ,また永遠性を暗示する題材としての果物は,死の永遠性を表す貝に対し,生の永遠性を表現したといわれる。…

【舌】より

…ついで舌下筋の収縮により舌は餌とともに口腔内にひきこまれるが,これら一連の動作は0.15秒ほどの短時間内に行われる。爬虫類以上では舌は触覚・味覚・発音器官としての働きももつ。【松井 正文】
[ヒトの舌]
 口腔の底部後方より突出している大きな高まりで,その表面は粘膜で覆われ,内部は,多くの脂肪細胞を含んだ結合組織により多くの小さな筋肉の束に分かれている。…

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