第三世界論(読み)だいさんせかいろん

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「第三世界論」の意味・わかりやすい解説

第三世界論
だいさんせかいろん

1974年2月,毛沢東が世界の各種基本矛盾の発展変化に基づき提出した国際政治理論と外交戦略。三つの世界論とも呼ばれる。第三世界論によると,世界は3つの世界あるいは勢力から構成されている。アメリカとソ連の2つの超大国は,力で覇権を求め他国を圧迫する第一世界である。かつて帝国主義植民地,付属属国であったアジア,アフリカラテンアメリカの発展途上にある国々は第三世界を構成し,植民主義,帝国主義,特に超大国の覇権主義に反対する主要な勢力であった。中国はこの第三世界に属する。日本,西欧,カナダなどの先進国は第一世界と第三世界の中間に位置し,二面性をもつ第二世界に属する。これまで中国は「中間地帯論」を唱えてきたが,1970年代それに代り第三世界論を打出した背景としては,中ソ対立や,第2次世界大戦後に独立した第三世界の国々の,国連をはじめ国際政治の舞台における進出がある。 80年代に入ってから,中国を取巻く内外情勢の著しい変化を受けて,中国は国際状況に関する見方が大きく変ったにもかかわらず,自分が第三世界に属する発展途上国であり,ほかの第三世界の国々との協力関係は変らないことをしばしば強調している。

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