トウは東南アジア原産のつる性植物で、茎はじょうぶで弾力があるうえに、表皮が美しく光沢があるので、家具のほか、ステッキ、吊(つ)り手、籠(かご)、敷物などに広く使われている。籐家具とは籐でつくった家具の総称であるが、椅子(いす)はその代表的なものである。作り方は、太民(ターミン)とよぶ太い丸籐や竹・木材などで骨組をつくり、これに皮籐を巻いて仕上げる。箱形の戸棚の扉や衝立(ついたて)などは、皮籐を編んだ薄い層を木製の下地に貼(は)って籐仕上げの外観にする。
籐家具の製造技術は、明治初期に神戸や横浜に中国の工人がきて教えたものが最初であった。籐の編組(へんそ)模様にはいろいろなものがある。プラスチックの発達によって、一部の小物製品はプラスチックにかわったが、天然材料のもつ肌ざわりと工芸的な味わいのために、籐には根強い人気があり、最近は増加の傾向にある。しかし手加工によらなければならないため、生産性はよくない。
[小原二郎]
出典 日外アソシエーツ「事典 日本の地域ブランド・名産品」事典 日本の地域ブランド・名産品について 情報
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