米山寺(読み)べいさんじ

日本歴史地名大系 「米山寺」の解説

米山寺
べいさんじ

[現在地名]三原市沼田東町納所 米山

沼田ぬた川の南約一・三キロの谷奥にあり、東盧山(もと新盧山)と号し、曹洞宗。本尊華厳釈迦如来。寺蔵の米山寺書記に、もとは仁平三年(一一五三)誓願開基の天台宗寺院とある。

応永五年(一三九八)一〇月八日付の小早川宗順巨真寺置文案写(小早川家文書)によると、嘉禎元年(一二三五)小早川茂平が鎌倉幕府三代の将軍を弔うため不断念仏堂を建立して巨真山きよしんざん寺と号し、小早川氏の氏寺とした。同四年一一月一一日付の小早川家文書によると、茂平は念仏堂の仏餉・灯油・修理料田として沼田川下流の塩入荒野を干拓し、寺を中心に小早川惣領家の強化をはかった(→沼田千町田。前記巨真寺置文案写では、安直あじか本郷内の一〇余名のうち在所不定の五町を巨真山給地下と号して反別四斗六升代の年貢としている。暦応四年(一三四一)一〇月一〇日付の小早川家文書は、寺の仏事・公事等は新田を譲得した人が各自の分限に応じて行うこと、修理・掃除は新田の百姓が行うこととある。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

デジタル大辞泉プラス 「米山寺」の解説

米山寺

広島県三原市にある曹洞宗の寺院。1153年に天台宗の寺院として創建鎌倉時代より小早川家の菩提寺。「元応元年己未十一月日」(1319年)の刻銘がある宝篋印塔は国の重要文化財に指定されている。

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世界大百科事典(旧版)内の米山寺の言及

【楽音寺】より

…また当寺は沼田地方の中心的神社である一宮の管理にもあたっている。小早川氏は鎌倉後期には独自の氏寺巨真山寺(米山寺)を建立するが,当寺はその後も小早川氏一門の崇敬を集めた。ことに室町時代には当寺が所在する梨子羽(なしわ)郷の大部分を所領とする竹原小早川氏の庇護を受け,種々の特権を与えられて繁栄を続けた。…

※「米山寺」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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