紀いん(読み)きいん(英語表記)Ji Yun

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「紀いん」の意味・わかりやすい解説

紀いん
きいん
Ji Yun

[生]雍正2(1724)
[没]嘉慶10(1805)
中国,清の学者,文学者。直隷 (河北省) 献県の人。字,暁嵐,春帆。号,石雲,観奕 (かんえき) 道人。乾隆 19 (1754) 年進士に及第,同 33年侍読学士となったが,罪を得てウルムチに流された。同 36年許されて翰林院編集となり,同 38年から始められた『四庫全書』総纂官の一人として完成までの約 10年,収録存目の可否,校定,分類など実質上の作業をすべて指揮した。特にその解題『四庫全書総目提要』 200巻の編纂にあたっては,各分野専門の学者の執筆したものを,彼がすべて手を加えて完成させた。その間,官位は礼部侍郎まで進んだが,さらに昇官して礼部尚書協弁大学士のときに没した。諡は文達。その学殖識見は多く『四庫全書』編纂に注がれたので,著書は少い。『聊斎志異』の流行に対する不満として著わした『閲微草堂筆記』は,清代筆記小説の代表作。詩文にもすぐれ『紀文達公遺集』があり,袁枚 (えんばい) とともに「南袁北紀」と並称された。

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