精選版 日本国語大辞典 「聊斎志異」の意味・読み・例文・類語
りょうさいしい レウサイシイ【聊斎志異】
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中国、清(しん)初の文人蒲松齢(ほしょうれい)の文語体の怪異小説集。作者の生存中から評判をよび、写本によって読み継がれていたが、死後51年を経た1766年に最初の刊本青柯亭(せいかてい)本が刊行された。445編を収めたこの版本の系統の16巻本が諸版本のなかでもっとも流布したが、現在では500編以上を収めた会校会注会評本が最良の版本である。この怪異譚(たん)の執筆期間は長年月にわたり、自序の書かれた1679年以後の作品もあるが、主要な編はこの年までに成立していたのかもしれない。
全編ことごとく神仙、狐(きつね)、鬼(コエイ)(幽霊)、化け物、不思議な人間や事柄などに関係した話で、その多くは民間の話に取材している。なかでも現世(このよ)と冥界(あのよ)との交渉の物語と狐の物語が他のものに比べてはるかに多い。しかも妖怪(ようかい)と人間との交情を中心に展開される情話が多い。狐女と幽霊の女が1人の青年をめぐって寵(ちょう)を争い、最後に3人とも二世にわたる縁を結ぶ「蓮香(れんこう)」、いかなるときにも笑いを失わずに人間に慰めを与える賢い狐女の物語「嬰甯(えいねい)」、牡丹(ぼたん)と忍冬(にんどう)の美しい花の精に無限の愛情を寄せる男の物語「香玉」などは、その屈指の代表的作品である。これらの主要編は唐代の伝奇や明(みん)の『剪燈新話(せんとうしんわ)』の系統に属するが、民間の話などをそのままに採録しないで、特異な物語を描き出そうとする明確な創作意識をもって執筆されている。その結果、巧妙な構成をもち、典拠のある用語を効果的に駆使した独自の簡潔な表現による精細な描写が行われ、叙次も整然としている。そこには怪異の世界と人間の世界との交錯が美しく展開され、エロティシズムの魅力も加わって、現実を写した小説からは味わえない人間の真と美とを感じさせ、中国怪異文学のなかで最高の傑作となっている。伝奇系の作品のほかに、清初の志怪小説に似た簡単な異聞の記録も多いが、作者の文才によって、やはり他書のものにみられない味わいをもっている。
中国では「説聊斎(シユオリヤオチヤイ)」(聊斎を語る)ということばが怪異譚を話す意味を表し、怪異小説の代表としての地位を占めている。日本には青柯亭本の出た翌々年にはすでに舶載されている。いくつかの翻案があるが、日本に与えた影響は明治以降に注目すべきものがあり、そのロマン性と優れた描写とが多くの近代・現代の文学者や文芸界に、江戸期における『剪燈新話』を凌駕(りょうが)する大影響を与えた。3種の全訳本もあり、多くの読者を獲得している。
[藤田祐賢]
『増田渉・松枝茂夫他訳『中国古典文学大系40・41 聊斎志異』(1970、71・平凡社)』▽『柴田天馬訳『聊斎志異』全四冊(角川文庫)』
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清代の文語文短編小説集。蒲松齢(ほしょうれい)(1640~1715)の作。16巻431編。狐や精霊の登場する妖怪談が多いが,人間味豊かな話で,風刺や諧謔(かいぎゃく)の面白味もあり,文学として優れ,広く愛読された。
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