改訂新版 世界大百科事典 「累進変成作用」の意味・わかりやすい解説
累進変成作用 (るいしんへんせいさよう)
progressive metamorphism
一つの変成帯では連続的に低温から高温の変成岩が分布している。これは変成帯の中で変成作用の温度条件が一定方向に向かって上昇しているためである。このような変成作用を累進変成作用という。累進変成作用は温度と圧力を軸としてとったグラフ上で一つの変成帯の温度・圧力の分布として示すことができる。つまり変成帯の各地点の変成岩の形成温度と圧力をプロットすれば累進変成作用を示すことになる。変成作用の物理的条件は変成帯の中で地域的に違っているので,累進変成作用の結果,一つの変成帯はいくつかの鉱物帯に分帯される。これを変成分帯という。累進変成作用を表す温度と圧力のグラフ上の曲線からいくつかの累進変成作用に分類することができる。これはまたその曲線がいくつかの変成相を横切ることから,変成帯の変成相系列を示すことにもなる。第1はヒスイ輝石-石英タイプ,第2はラン晶石-ケイ線石タイプ,第3は紅柱石-ケイ線石タイプの変成相系列で表される累進変成作用である。それぞれ高圧型変成帯,中圧型変成帯,低圧型変成帯でみられる変成作用である。
→変成帯
執筆者:鳥海 光弘
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報