( 1 )「我が背子が来べき宵なり佐瑳餓泥(ササガネ)の蜘蛛の行なひ今宵著しも」〔書紀‐允恭八年二月・歌謡〕の「ささがね」が古形で、これが上代の唯一例である。この歌が、「我が背子が来べき宵也ささがにのくものふるまひかねてしるしも〈衣通姫〉」〔古今‐恋四〕と枕詞の形で伝えられ、中古以降は「ささがに」の形で蜘蛛をさすようになり、さかんに歌に詠まれた。→ささがにの。
( 2 )「ささがね」は「笹が根」「細小蟹」「泥(ささ)蟹」などと解する説があるが、中古以降の「ささがに」はもとの意味にこだわることなく、単に蜘蛛の異名とされた。