日本大百科全書(ニッポニカ) 「経営コンサルタント」の意味・わかりやすい解説
経営コンサルタント
けいえいこんさるたんと
management consultant
顧客の依頼に応じて経営上の顧問、診断・指導などを業として行う専門家。マネジメント・コンサルタント、経営士、経営管理士などともいう。この職業は20世紀初頭アメリカに始まり、各国にしだいに普及した。経営活動の複雑化と科学化の要請が、この新しい職業を生み出したのである。初期には現場作業の能率向上を中心にしていたが、漸次、経営問題全般に及ぶようになってきた。近年では、未来戦略の助言や政界、外国との橋渡し的な役割を演じるものも現れている。このような傾向は、コンサルタントの専門化を生み出し、人事労務、販売、事務、生産、組織、最高経営、国際問題などに細分化が進んでいる。さらに、継続的・臨時的に経営上の勧告、診断、指導を適切に行うためには、依頼人以上に高度な学識経験に加えて、依頼人との間に信頼関係を醸成できる人格的資質が必要とされる。日本では、公的に中小企業診断にあたる中小企業診断士のみが法制化されているが、そのほかは完全な自由業であり、日本経営士会や経営管理士会を形成して、資質の向上に努めている。
[森本三男]