経営成果分配制度(読み)けいえいせいかぶんぱいせいど

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

経営成果分配制度
けいえいせいかぶんぱいせいど

企業の経営活動の成果すなわち経営成果を、使用者と従業員、もしくは資本と労働の間で分配する制度の総称。経営成果のとらえ方と分配方法によって多種のものがある。伝統的には利潤が成果であり、それは基本的にはすべて資本に帰属するとされた。しかし、利潤をあげるにも従業員(労働)の協力が必要であるとの考え方から、まず利潤分配制度が生まれ、続いて利潤を内包する経営成果概念が生まれて、諸種の分配制度が提唱されるようになった。成果分配の根拠は公正性と刺激性の二つに求められる。公正性とは、成果形成に貢献した主体にそれを公平に帰属させるべきであるとする考え方であり、刺激性とは、分配が被分配者の貢献意欲を刺激し、経営活動への理解と支持を生み出す作用をもつことに着目した考え方をいう。経営成果はもともと理論的、抽象的概念であるが、今日それにもっとも近いものと考えられているのは付加価値である。

 今日の主要な経営成果分配制度には、利潤分配制、ラッカー・プラン、スキャンロン・プラン、レーマン・プラン、カイザー・プランなどがある。もっとも有名なラッカー・プランは、アメリカの経営コンサルタントA・W・ラッカーが提唱した付加価値分配方式である。その中心は、(1)全体経済の分析から得られた分配率を個別企業に適用する、(2)分配率は付加価値に対する労務費の比率である、(3)成果分配を労使協力のための刺激とみなすこと、の3点である。彼は、1899~1929年の製造工業統計から39.395%という固定分配率を設定した。実際の分配は、毎期の付加価値にこの分配率を乗じて分配総額を決定し、この額と既払い賃金総額との差額を追加的に各従業員に対し分配する方法をとる。しかし、ラッカー自身は、従業員個人への追加分配について具体的方法を示していない。

[森本三男]

『高田馨著『成果分配論』(1971・丸善)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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