日本大百科全書(ニッポニカ) 「ラッカー・プラン」の意味・わかりやすい解説
ラッカー・プラン
らっかーぷらん
Rucker plan
経営成果分配制度のうち付加価値分配原理にたつ一方式。1932年、アメリカの経営学者A・W・ラッカーが案出した。分配の源泉は生産価値とよばれ、売上高から原材料費、消耗品費、動力費等の外部購入資源に対する支払額を控除した額であり、本質的には粗付加価値と同一のものである。この生産価値に一定の固定分配率(1899~1929年の製造工業統計から求めた経験的平均値としての39%)を乗じた額が従業員分配総額となり、それとすでに実際に支払われた賃金総額との差が追加分配総額となる。従業員個々人への分配は、各人の基本賃率または支払い済み実際賃金額のいずれかによって案分比例的になされる。この方式の特徴は、固定分配率をとるところにあるが、機械化による生産価値の増大が無視されるなどの批判がある。日本にも日本能率協会などによって導入され、若干の中小企業で採用されたことがある。
[森本三男]