日本歴史地名大系 「網走港」の解説
網走港
あばしりこう
北緯四四度、網走湾の西端にあり、網走川河口部に位置する重要港湾。港湾区域は河口のみでなく網走川筋の新橋下流までの水面で網走市街の中心部に隣接する。一七九八年(寛政一〇年)頃にはアバシリに番屋が置かれて漁場が開設されていた(「谷口青山沿岸図」市立函館図書館蔵)。一八五八年(安政五年)五月一〇日、松浦武四郎はアイヌ三名を連れて「番屋前(中略)より丸木船にて出立」しており、網走川上流部へは河口部から船で遡上した(「戊午日誌」安婆志利誌)。
「北見国地誌提要」には網走村の湾は「東北ニ向ヒ深サ自五尋迄十二尋広サ凡十六丁」とある。明治初年の網走川河口の湊の様子を、「北見州経験誌」には「澗形宜敷西ハノトロ岬ヲ以テ拒、東南嶽ヲ以テ掩フ。岸より八丁離レ(中略)岩嶋アリ。(中略)岩嶋ニ柱ヲ打繋キ右ニ碇ヲ投ステ懸ル。故ニ如何ナル荒波ト雖トモ患ヲ不知。十丁沖ハ十五尋海底ハ総容砂ナリ。唯可惜ハ澗形狭隘千石以上ナラハ六七艘容ルベシ。其他小船ハ若干可ナリ。
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報