綿摘(読み)わたつみ

精選版 日本国語大辞典 「綿摘」の意味・読み・例文・類語

わた‐つみ【綿摘】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 成熟した綿花を摘み取ること。また、その作業をする人。綿取り。《 季語・秋 》
    1. [初出の実例]「綿つみよ兎の耳を引延す〈其角〉」(出典:俳諧・梨園(1735)風)
  3. 江戸時代、塗桶という道具を使って綿をのばし、小袖の中入れ綿綿帽子を作ること。また、その仕事をする女。実はそれを表向きの仕事として、ひそかに売淫する私娼として知られた。寛文一六六一‐七三)の頃から流行し、宝永一七〇四‐一一)の頃には禁止されて一時下火になった。江戸のほか、京、大坂にも及んでいた。
    1. [初出の実例]「綿摘などと名付、遊女差置候者」(出典:御触書寛保集成‐四六・宝永二年(1705)九月)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の綿摘の言及

【私娼】より

…したがって各地に多くの私娼が出現し,なかには堂々と営業を続けて,公娼をしのぐほどのものも珍しくはなかった。表面上は公娼制堅持の幕府にとって,私娼はすべて隠売女(かくしばいじよ)であったが,法令に出てくる名称だけでも風呂屋女,茶屋女,茶立女(ちやたておんな),給仕女,女踊子,綿摘(わたつみ),比丘尼(びくに),芸者などがあり,その存在を見過ごせなかった事情を物語っている。実際の私娼の名称は,俗称を含めてはるかに多く,表向きの職業や居住地名にちなんで命名されている。…

※「綿摘」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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