日本大百科全書(ニッポニカ) 「綿花取引所」の意味・わかりやすい解説
綿花取引所
めんかとりひきしょ
cotton exchange
綿花の実物および先物の取引を行う定期清算市場のこと。先物取引とは、売買決定後、一定期間を経過してから商品を受け渡す取引であり、その本質は投機取引である。定期清算とは、先物取引の清算期限を将来の特定期日(たとえば1年半以内の各月末)に決めておくことをいう。日本には過去・現在とも綿花取引所は存在しない。綿花は18世紀の産業革命による紡績・織物産業の発達によって世界的な天然繊維資源となったが、綿花の供給国はアメリカ、インド、パキスタン、エジプト、ブラジル、中国など限られた数しかない。このため、需給を調節して適当な価格を形成するために取引所が必要になった。綿花取引所には、生産市場を代表するものと、需要市場を代表するものとがある。前者の典型はアメリカのニューヨーク綿花取引所(1870創設)であり、後者の代表はイギリスのリバプール綿花取引所(1874創設)である。
[森本三男]