ことわざを知る辞典 「縁は異なもの」の解説
縁は異なもの
[使用例] 「男の方なら働き次第ッていう事もあるでしょうけど、女一人で子供があっちゃア並大抵じゃありません。」「だから、ねえ、おかみさん。どうです。わたしも一人、あなたも一人でしょう。縁は異なものッて云う事もあるじゃありませんか。あの朝一ッしょに炊出しをたべたのが、不思議な縁だったという気がしませんか。」[永井荷風*にぎり飯|1949]
[使用例] このころのことを思い出して、何結婚と名づけてよいか戸感うのだが、まあ、私のような、ぐうたらな男のところへ、心はずませてやってきてくれた二十一歳の娘は、ありがたいといわねばならない。縁は異なものというが、すべて山岸一夫がいなければ、むすばれなかったことのようである[水上勉*冬日の道|1970]
[解説] 江戸いろはかるたにも収録され、よく知られた表現です。「縁」は人と人を結びつける不思議な力で、単なる偶然を越えた巡り合わせといってよいでしょう。「異な」は、文字どおりには、おかしな、奇妙なということですが、ふつうにはありえないというニュアンスにつながります。さらに、「味なもの」と続けると趣があることが鮮明になり、男女の関係を強く示唆します。とはいえ、ことわざ自体は、男女の縁とはかぎらず、ひろく人と人との出会いについて使われ、その背後には縁があることに気づいたときの感慨があるといってよいでしょう。
[類句] 合縁奇縁
〔英語〕Marriages are made in heaven.(結婚は天で決められる)
〔中国〕千里姻縁牽一綫(千里離れていても縁は一つの糸で結ばれる)
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