(読み)かげ

精選版 日本国語大辞典 「縵」の意味・読み・例文・類語

かげ【縵】

  1. 〘 名詞 〙 タチバナの実を枝ごと折り取って葉も付けたままのもの。一説、タチバナの実を幾つか緒でつないだもの。
    1. [初出の実例]「木(き)の実を採りて縵(カケ)八縵、矛八矛を将来(もてまうく)る間(ま)に、天皇既に崩りましぬ」(出典古事記(712)中(兼永本訓))

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「縵」の読み・字形・画数・意味


17画

[字音] マン
[字訓] ゆるい

[説文解字]

[字形] 形声
声符は曼(まん)。曼に、平らかで広いものの意がある。〔説文〕十三上に「(きぬ)の(あや)無きものなり」とし、「衣を賜ふは、縵表白裏」と漢律の文を引く。生地の粗い文様のない布帛である。うねを作らぬ田を縵田といい、〔荘子、斉物論〕にゆるやかな風を「縵なる」と形容する。のっぺりとしたもの、ゆるやかなさまの意がある。

[訓義]
1. あやのないきぬ、あやのないもの。
2. ゆるい、ゆるやか。
3. 幕と通じ、まく、幔幕

[古辞書の訓]
〔新字鏡〕縵 阿也奈支太太奴(あやなきただきぬ)なり 〔名義抄〕縵 アミ 〔字鏡集〕縵 アミ・ユルナリ・オホキナルモン

[語系]
縵・慢meanは同声。幔muanは声が近い。ひろくゆるやかな帛(きれ)の類を縵・幔といい、緊切を欠く状態を慢という。

[熟語]
縵纓縵楽縵胡・縵・縵田縵帛縵布縵縵縵密・縵立
[下接語]
衣縵・夏縵・乗縵

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

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