繁殖毒性(読み)はんしょくどくせい

日本大百科全書(ニッポニカ)「繁殖毒性」の解説

繁殖毒性
はんしょくどくせい

さまざまな物質や物理的要因(電離放射線、電磁波など)が、雌雄生殖細胞の形成、受胎能、次世代の動物の発生や親動物による出産児の哺育(ほいく)といった、ヒトや動物の生殖(繁殖)過程に及ぼす悪影響を、繁殖毒性または生殖毒性とよぶ。類似の毒性に、生殖細胞の形成、受精、胚子(はいし)の器官形成や発育に及ぼす発生毒性があり、繁殖毒性は主として親世代の側からこれらの毒性を評価した場合、発生毒性は子世代の側から評価した場合に用いられる用語である。

 さまざまな化合物(または要因)の哺乳類や鳥類に対する繁殖毒性は、ラット、マウス、ウズラなどの実験動物にそれらを一定期間曝露(ばくろ)した後に動物を交配し、親動物の繁殖能力と児動物の発育状況を検査する一世代繁殖試験や、さらに曝露を継続して孫世代の動物の発育状況まで調べる二世代繁殖試験により評価される。二世代繁殖試験では、親動物の生殖器官卵巣または精巣)中に存在する配偶子の時期から被験物質(または要因)の曝露を受けた子世代の動物が無事に孫世代の動物を出産し、これらの動物が正常に育つことを確認するので、このような試験で繁殖毒性が発現しなければ、それ以上世代を繰り返して曝露を継続しても悪影響が現れることはないと考えられている。

[青山博昭]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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