羌(漢字)

普及版 字通 「羌(漢字)」の読み・字形・画数・意味


8画

[字音] キョウ(キャウ)
[字訓] ああ

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 象形
羊頭の人に象る。羌人は西戎の一、牧羊族。古く羊頭神の信仰をもち、岳神を祖とした。岳神伯夷は姜姓諸族の祖とされる。卜文の岳の字は、山上に羊頭をおく形に作る。〔説文〕四上に「西戎、牧羊人なり」とし、字を会意にして羊の亦声とするが、羊頭人の象形。卜文にときに辮髪を加える形のものがあり、チベット系の古族であるように思われる。卜辞に「羌」を卜する例が多く、軍門である義京・磬京(けいきよう)の儀礼に「羌三十人を宜(ころ)さんか」のように卜する例があり、犠牲として用いるために捕獲されている。殷墓に残る数千に及ぶ断首葬は、羌人犠牲のあとであると考えられる。仮借して感動詞に用いる。

[訓義]
1. 西方の族、羌人。
2. 楚人の語で、ああ。
3. 語詞として、すなわち。

[古辞書の訓]
名義抄〕羌 ツツガ 〔字鏡集〕羌 サト・スナハチ・コトバ・カヘル・ノリ・コハシ・ツツガ

[声系]
〔説文〕に羌声としてを収める。は小児の泣きやまぬ声をいう擬声語。他に姜は羌の省声とみるべき字で、羌人出自の姓を示すものとみられる。姜姓四国(申・呂(甫)・許・斉)は姫姓と通婚の関係にあった。伯夷・許由・皋陶(こうよう)は姜姓の祖神で、夷・由・陶は同音の転訛したもの。伯夷は岳神にして姜姓の祖とされ、岳の初文は山上に羊頭を加えた形である。

[熟語]
羌夷羌塩羌活羌管羌戸羌胡・羌羌鷲羌青羌笛羌桃・羌・羌羌虜
[下接語]
外羌・巌羌・吃羌・黠羌・山羌・熟羌・西羌・

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報