ヨハン・シュトラウス2世(ワルツ王)が1867年に作曲したウィンナ・ワルツ(作品314)。その前年オーストリアはプロイセン・オーストリア戦争に敗れ、かつてのウィーンの栄光は色あせてしまった。人々は苦悩と失意のうちにあり、国を憂うシュトラウスは、ドナウの流れをたたえたカール・ベックの詩に感動し、敗戦の痛手をいやし人心を鼓舞するようなワルツの作曲を思い立った。この詩の最終行を題名として、合唱付きワルツを作曲、すぐに管弦楽用に書き直し、大好評を博した。以来『ウィーンの森の物語』(1868)とともに、もっともポピュラーなワルツとして名をはせ、母国の自然をたたえる曲の性格から、現在では「オーストリアの第二国歌」とまでいわれている。
[三宅幸夫]