美福門院墓(読み)びふくもんいんのはか

日本歴史地名大系 「美福門院墓」の解説

美福門院墓
びふくもんいんのはか

[現在地名]桃山町元 妙見

柘榴ざくろ川と市場いちばの中間の田の中にあり、鳥羽院領荒川あらかわ庄を高野山に寄進した、鳥羽院妃美福門院藤原得子の墓と伝える。周囲は六メートル四方の台地になっており、樹齢約三〇〇年の樟の大樹が茂り、傍らに「奉為美福門院菩提也」の文字が刻まれた五輪塔がある。

「紀伊名所図会」に「御年四十四にして崩御し給ひしかば、御遺言によりて玉骨を備後守時通が首にかけて高野山に納め、仏像を根来寺に奉納し給へり。荘中の民も此事どもを伝聞きて、寺田といふ処に槐樹を植ゑて御墓の形をなし、女院の冥福を勤めいそしむ事も多かりしとなん」とあり、「続風土記」にも「御分骨を此地に葬り槐を植て印の木とすといふ、今此樹なし(中略)今は五輪塔面に奉為美福門院菩提也とあり、石灯籠等あり、宝永中野山より建立すといふ、文化六年女院六百五十回忌の法会をなしたりとて卒塔婆あり」と記している。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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