日本大百科全書(ニッポニカ) 「義烏」の意味・わかりやすい解説
義烏
ぎう / イーウー
中国、浙江(せっこう)省中部の県級市。別名稠州(ちゅうしゅう)。旧称は烏孝(うこう)。銭塘江(せんとうこう)の支流が形成する金衢(きんく)盆地の東部に位置する。金華(きんか)地級市に属する。人口76万6604(2014)。唐代に義烏県が置かれ、1988年に市制施行された。
古くから農業が発達し、水稲、サトウキビなどを産する。「金華ハム」の産地として有名。市内には1980年代から日用品の卸売市場が形成され始め、2000年代以降、「義烏国際商貿城」「篁園(こうえん)服装市場」「賓王(ひんのう)市場」などの巨大卸売市場が相次いで開業。日本の「100円ショップ」をはじめ、世界中からバイヤーが集まり、中国東部最大の物流基地となった。周辺には衣料品、寝具、革製品、文房具、家電製品、玩具などの製造業が集積し、中小企業を対象にした日用品の博覧会が毎年開催されている。滬昆(ここん)線(上海(シャンハイ)―昆明(こんめい))、滬昆高速鉄道が通じ、2016年には金甬(きんよう)線(金華―寧波(ニンポー))の建設も開始された。滬昆高速道路などの自動車道が通り、市街近郊には義烏空港がある。
唐代の詩人・駱賓王(らくひんのう)を記念する公園のほか、文化大革命の発端ともなった歴史劇『海瑞罷官(かいずいひかん)』の作者・呉晗(ごがん)の旧居がある。
[周 俊 2019年3月20日]