義県万仏堂(読み)ぎけんばんぶつどう

精選版 日本国語大辞典 「義県万仏堂」の意味・読み・例文・類語

ぎけん‐ばんぶつどう‥バンブツダウ【義県万仏堂】

  1. 中国遼西省義県、大凌河の対岸岸壁にある北魏時代の石窟寺院。東西二区に分かれ、六窟ずつある。西区第五窟の碑文によると太和二三年(四九九)営州刺史元景が皇帝のために造った。中心となる西区第一窟は約一〇メートル平方、高さ六メートルで中央に三メートル四方の柱を掘り残してある。方柱や壁面に多くの龕仏(がんぶつ)が作られ、天井には蓮花や飛天が刻まれているが凝灰岩のため風化が著しい。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「義県万仏堂」の意味・わかりやすい解説

義県万仏堂
ぎけんばんぶつどう

中国、遼寧(りょうねい/リヤオニン)省の義県県城から北西に9キロメートルの凌河(りょうが)北岸にある仏教石窟(せっくつ)。北魏(ほくぎ)時代に開削された。現在では西区の6窟、東区の7窟および若干の小龕(しょうがん)からなっている。西区には北魏の太和23年(499)4月8日営州刺史(えいしゅうしし)元景(げんけい)造窟記(元景は北魏第2代明元(めいげん)皇帝の曽孫(そうそん))、東区には景明3年(502)5月9日尉喩契丹使(いゆきったんし)韓貞(かんてい)造像記が残っている。二つの貴重な銘文によって、万仏堂が、当地に赴任してきた王族や官僚の発願によって5世紀末から造営されたことがわかる。仏像の多くは風化して後世の補修の跡が甚だしいが、わずかに残る交脚菩薩(ぼさつ)像の浮彫りなどに雲崗(うんこう)様式に通じる北魏仏のおもかげをしのぶことができる。

[佐藤智水]

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