出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
近代イタリアの大詩人G.レオパルディの詩集。初版は1831年にフィレンツェで,第2版は35年にナポリで刊行された。しかし,夭折するまでの2年間を,詩人がさらに綿密な修正と改作とに捧げたため,その遺稿をもとにした版が今日では流布している。またさらに,死の2時間前に詩人が書き残した〈月は傾く〉と36年に作成した長詩〈えにしだ〉の2編を加えるのが,一般になっている。身長が伸びずせむしになったり,視力をほとんど失うなど,“気違いじみた”勉学のなかで,古今の詩法に通暁していたにもかかわらず,1編ごとに新たな自由詩型を編みだしたのは,深い思索の果てに感知した無を,悲劇的な韻律のうちに,新たな角度から歌いあげるためであった。イタリアの詩史から見れば,ペトラルカの《カンツォニエーレ》と並んで,抒情詩集の双璧に掲げられる。
執筆者:河島 英昭
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
近代イタリアの大詩人レオパルディの詩集。1818年以降につくられた主要な詩作品のすべてを収める。表題は「詩歌集」の意。初版は1831年にフィレンツェで、第2版は35年にナポリで、また第3版は詩人の没後その意志に従い親友アントーニオ・ラニエーリがフィレンツェで出版した。『イタリアに』『ダンテの碑の上で』『アンジェロ・マーイに』などイタリア国家統一(リソルジメント)を志向する政治的・文化的内容の長詩と、『無窮』『祭りの日の夕べ』『月に寄せて』など叙情的な短詩とからなり、とりわけ後者は個人的な感情を超え、透徹したペシミズム(厭世(えんせい)主義)のうちに存在の無と世界の悲哀とを歌い上げている。
[河島英昭]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…ジャコモ・ダ・レンティーニは十四行詩のなかで〈愛とは喜びのあまり/心からあふれでる願い〉と歌い,これを受けて〈清新体〉派の先駆者グイード・グイニツェリGuido Guinizelli(1230‐76)は〈やさしい心につねに愛は宿る〉と書いた。けれどもダンテは《神曲》煉獄編第11歌において,このグイードから別のグイード(カバルカンティ)が詩の栄光を奪い,さらに両者を蹴落とす者(ダンテ自身)が現れたことを述べている。この自負は,〈愛〉をめぐる詩法の転換に基づいている。…
※「カンティ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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