羹に懲りて膾を吹く(読み)あつものにこりてなますをふく

精選版 日本国語大辞典 「羹に懲りて膾を吹く」の意味・読み・例文・類語

あつもの【羹】 に 懲(こ)りて=膾(なます)[=和物(あえもの)]を吹(ふ)

  1. ( 熱い吸い物にこりて、膾や和物のような冷たい料理も吹いてさます意から ) 一度失敗にこりて、必要以上の用心をするたとえ。
    1. [初出の実例]「心得難き事ならずや。思ふに、羹に懲りて膾を吹くの謂なるべし」(出典:読史余論(1712)三)
    2. [その他の文献]〔楚辞‐九章・惜誦〕

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ことわざを知る辞典 「羹に懲りて膾を吹く」の解説

羹に懲りて膾を吹く

不用意に口にした吸い物の熱さにこりて、なますやあえもののような冷たい料理までも吹いてさます。一度の失敗にこりて、必要以上に用心することのたとえ。

[使用例] あつものりてなますを吹くは、しゅを守ってうさぎを待つと、等しく一様のたいりつに支配せらる[夏目漱石虞美人草|1907]

[解説] 中国楚の詩人くつげんの詩「惜誦」の一節。「羹」は、肉や野菜を煮た熱い汁をさし、「膾」は酢などで調理した冷たい料理の意。

英語〕A burnt child dreads the fire.(火傷した子どもは火をこわがる)

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故事成語を知る辞典 「羹に懲りて膾を吹く」の解説

あつものに懲りて膾を吹く

一度の失敗にこりて、必要以上に用心することのたとえ。

[使用例] あつものに懲りて膾を吹くは、株を守って兎を待つと、等しく一様の大律に支配せらる[夏目漱石*虞美人草|1907]

[由来] 「楚辞」の一節から。主君をいさめようとして嫌われてしまった、臣下の気持ちをうたった作品の一節に、「羹に懲るる者はあえものを吹く、何ぞの志を変えざるや(吸い物の熱さにこりて、野菜のあえもののような冷たい料理までも吹いてさます者もいるのに、主君をいさめて失敗した自分は、どうして考えを変えようとしないのだろう)」とあります。日本では、この「虀」が「膾(細かく刻んだ生肉)」に変わった形で定着しています。

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