魚貝類,野菜などを合わせ調味料(あえ衣と呼ぶ)でまぜ合わせた料理。古く《万葉集》には蒜(ひる)をつきまぜた醬酢(ひしおす)でタイをあえるという歌が見られ,《和名抄》には〈韲阿倍毛乃擣薑蒜以醋和之〉〈阿閉豆久利切肉合糅也〉とある。あえ衣は,酢,みそ,しょうゆ,酒,みりん,砂糖などの調味料に,ワサビ,カラシ,木の芽(サンショウの若芽)などの香辛料を合わせたり,豆腐,ゴマ,クズ,クルミ,大根おろし,卵黄,ウニ,魚貝類の内臓などを配することが多い。白あえ,ゴマあえ,クルミあえ,酢みそあえ,木の芽あえ,みぞれあえ,ウニあえ,わた酢あえなど多くの種類がある。
白あえは,豆腐の水分を絞ってすり鉢であたり,砂糖,塩などで味をととのえたあえ衣で,せん切りにして下煮したニンジン,こんにゃく,シイタケなどをあえる。ゴマあえはゴマよごしともいい,いりゴマをすって,塩,しょうゆ,砂糖などで調味し,セリ,シュンギク,コマツナ,ナスなどをあえる。木の芽あえは,木の芽をすりまぜた木の芽みそで,たけのこ,ウド,イカ,アワビをあえるもの。サンショウの香りがさわやかな季節感をかもし出す。美しい緑色を出すためには白みそを使い,〈青寄せ〉を加えるとよい。青寄せは寄せ菜ともいい,ホウレンソウ,ダイコン葉などをすって水を加え,これをこしてとった青い水を煮立たせ,上に浮いた青みを集め,まないたの上でもう一度包丁ですって使う。みぞれあえは,味をつけた大根おろしであえるもの。わた酢あえは,魚貝類のわたを裏ごしし,酢じょうゆなどにまぜて,その魚や貝をあえる。アワビをそのわたで,アンコウをその肝であえるなどがそれで,とも酢あえとも呼ぶ。ウニあえは,練りウニに卵黄と酒少々を加えてすりのばし,これでイカ,アワビ,クラゲなどをあえる。
執筆者:福田 浩
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
…唐物茶碗に代わって朝鮮半島で焼かれた高麗(こうらい)茶碗が,喫茶の茶碗として取り上げられている。実際に高麗茶碗が和物茶碗とともに茶の湯の茶碗の中心となるのは,侘茶が大成された桃山時代天正年間(1573‐92)に入ってからのことであるが,茶の湯の記録ではそれより早く,天文年間(1532‐55)の茶会記に見られる。このころの高麗茶碗は,李朝の陶磁を代表する三島(みしま)や粉引(こひき),堅手(かたで)(白磁碗)などである。…
…それに対し,唐物,台天目(台にのせた天目茶碗を扱う点前),盆点(唐物茶入,拝領物を盆にのせて扱う点前)は,台子へ進むための基礎的課目とみなすことができる。そして台子に用いられる唐物茶入,天目茶碗の格調,あるいは和物(わもの)(唐物に対する語で国産品をいう)でも名物としての位取りによって,台子点前はさまざまに変容対応するのである。そしてこの内容は奥秘とされてきた。…
…蒔絵は初期には松楓蒔絵手箱(熊野速玉大社)にみるように,のびやかなやまと絵的文様を特色としていたが,義政の時代には,文様・手法が細密化され,高蒔絵を用いモティーフを浮彫様にあらわしたり,岩に宋元画の筆法をうつしたり,入念な細工となっている。このような傾向は,義政の座敷飾が唐物に変化を与えるため蒔絵のような和物だけで一室を飾ることもあったのに関連する。塩山(しおのやま)蒔絵硯箱(東京国立博物館)や義政遺愛の春日山蒔絵硯箱(京都国立博物館)が,そうした精巧な蒔絵の典型である。…
※「和物」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...
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