日本大百科全書(ニッポニカ) 「耕うん」の意味・わかりやすい解説
耕うん
こううん / 耕耘
田畑を耕す作業の一つ。おもに整地や中耕除草を目的として行われる。整地とは、作物の種子播(ま)き、あるいは植え付けの前に、作物の生育、とくに根の発育をよくする目的で田畑の土壌条件を改善する作業で、一般には、耕土をおこして表層の土と深層の土とを反転させる耕起作業と、耕起した土壌を細かく砕いて耕土を軟らかくする砕土作業、畑を平らにする均平作業からなる。中耕除草は、植えてある作物の畝(うね)間や株間を耕して根の発達を促し、同時に雑草を防除することである。
耕うんは普通、耕うん機を用いて行うが、この場合は、整地にあたって耕起、砕土と分けずに一挙にある程度の深さまで整地する。この耕うんの方法は、耕起してから砕土するよりも、簡便で、労力が少なく早く行うことができる。日本では大正中期に小型耕うん機が初めて用いられ、第二次世界大戦後になって水田二毛作地帯を中心に急速に発達し、園芸地帯にも普及している。耕うんによって、土壌中への空気や水の透過がよくなり、有機物の分解も早まり、作物の養分吸収が容易となる。また雑草の発生が抑えられる。しかし耕うん機では、耕深は深くても10~12センチメートル程度であり、とくに表層の土壌と深層の土壌との反転が少ないため、土壌条件を改善する効果は、犂(すき)などで耕起を深く行い次に砕土を行う方法よりは低い。さらに、耕起後砕土した場合は、土の塊が深層で大きく表層ほど小さいのに対して、耕うん機の場合は逆で深層ほど土塊は小さくなっており、これは深層部での空気の流通が劣るので、根の生育には十分なものとはいえないなどの欠点もある。
[星川清親]