一般に土地をならすことをいうが、農業上では作物栽培に際して、最初に田畑を耕し作付けできるように整える作業を総称して整地という。耕地は作物が栽培される間にしだいに固まり、作物の生育に不適当な状態になる。次の作物を作付けするためには整地作業により、土壌を膨軟にして通気、通水を良好にし、また保水力、吸熱力を高めて土の風化を図り、養分が作物に吸収されやすいようにする必要がある。整地すると、その後の播種(はしゅ)、定植および管理作業が能率よくでき、雑草や前作物の残渣(ざんさ)を土中に埋めて耕地に有機物を補給し、また雑草の発生を抑制することができる。
整地の方法は作物や土壌の種類によって異なるが、一般的な畑では、まず耕起し、次に砕土し、最後に均平にする。ムギ類やダイズなどではこの段階で種子を播(ま)くが、野菜やタバコなどでは続いて鎮圧やうねづくりをしてから定植する。水田では、耕起をしてから水を入れ、湛水(たんすい)(水を張った)状態で砕土し、均平にする。これをとくに代掻(しろか)きとよぶ。
手作業で整地するには鍬(くわ)や手犂(てすき)類が用いられるが、現在は機械を利用し、プラウで耕起してハローで砕土する。また、ロータリーハローを用いると、耕起、砕土を一工程で行うことができ、これを耕うんという。
[星川清親]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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