耳盥(読み)ミミダライ

デジタル大辞泉 「耳盥」の意味・読み・例文・類語

みみ‐だらい〔‐だらひ〕【耳×盥】

左右に耳状の取っ手のついた小形のたらい多く漆器で、鉄漿付かねつの際、口をすすぐのに用いた。→角盥つのだらい

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精選版 日本国語大辞典 「耳盥」の意味・読み・例文・類語

みみ‐だらい‥だらひ【耳盥】

  1. 耳盥〈婚礼道具諸器形寸法書〉
    耳盥〈婚礼道具諸器形寸法書〉
  2. 〘 名詞 〙 左右に柄のつき出た角盥(つのだらい)の柄を平板山形にして取りつけた盥。多くは漆器で、口すすぎや手洗いに用いた。
    1. [初出の実例]「冷泉を結ふそ清き耳たらひ〈尺雪〉」(出典:俳諧・一本草(1669)三)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「耳盥」の意味・わかりやすい解説

耳盥
みみだらい

盥の一種。角(つの)盥と同様のもので、把手(とって)の角の部分が耳の形に似ているところからいうようになり、角盥に比べて小ぶりなものが多い。婚礼調度の化粧具の一つ、また歯黒道具の一つである。附子(ぶし)と鉄汁の歯黒汁で鉄漿(かね)筆によって歯を黒く染めるとき、この耳盥の上に金銅板の渡(わた)し金(かね)とよぶ細長い板を渡し、その上に歯黒汁を入れた容器をのせ、うがい茶碗(ぢゃわん)の湯水で口をうがいするのに耳盥を用いる。木製に漆を塗り、耳の部分を金銅板で装飾するのが多い。

[郷家忠臣]


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世界大百科事典(旧版)内の耳盥の言及

【盥】より

…角は持ち運ぶときの把手であると同時に,手水を使うときここに袖をかけて濡れるのを防いだという。近世になると耳盥となる。これは角盥よりやや小型で,左右に半月形の把手がついている。…

※「耳盥」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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