肺リンパ脈管筋腫症(読み)はいりんぱみゃくかんきんしゅしょう(その他表記)Pulmonary Lymphangiomyomatosis

家庭医学館 「肺リンパ脈管筋腫症」の解説

はいりんぱみゃくかんきんしゅしょう【肺リンパ脈管筋腫症 Pulmonary Lymphangiomyomatosis】

[どんな病気か]
 月経(げっけい)がなくなる前(閉経前(へいけいまえ)の妊娠可能な年齢)の女性だけに発症する肺の病気で、まれにしかみられないものです。
 肺の中のいたるところで平滑筋(へいかつきん)という筋肉組織が増殖し、いろいろな症状をひきおこします。
 肺の気管支の壁にある平滑筋が増殖した場合は、気管支の内腔(ないくう)が細くなり、吸った空気をはき出しにくくなります。その結果、多くの肺胞(はいほう)がゴム風船を膨(ふく)らませたような状態になり、気腫性嚢胞(きしゅせいのうほう)が肺のいたるところにできて、運動時の呼吸困難、せき、気胸(ききょう)が生じます。
 肺の静脈の壁にある平滑筋が増殖すると、静脈の内腔が細くなって血液の流れがとだえます。その結果、肺胞の壁の毛細血管網(もうさいけっかんもう)から流出する血液が行き場を失い、充血がおこります。その血液が肺胞内にしみ出すと、血(けっ)たんや、肺が柔軟性を失う肺血鉄症(はいけつてつしょう)の原因となります(二次性肺血鉄症(にじせいはいけつてつしょう))。
 また、リンパ管の平滑筋が増えると、同様にして、リンパ液の流れが障害されます。
[原因]
 なぜ、肺の平滑筋が異常な増殖をするのか、その原因の詳しいことはわかっていません。
 しかしながら、ほとんどが妊娠可能な年齢の女性に発病すること、妊娠したり経口避妊薬(けいこうひにんやく)の服用で悪化することがわかっています。
 さらに、閉経後の女性に発病した例では、治療のためにエストロゲンという女性ホルモンが使用されていたという報告があります。
 これらのことから、発病には、女性ホルモンがかかわっていると考えられています。
[検査と診断]
 妊娠が可能な年齢の女性で、原因のわからない呼吸困難がおこったり、気腫性嚢胞が破れて気胸がおこった場合、この病気の発見や診断のきっかけになることがあります。
 また、胸部CT検査をすると、この病気に特徴的なカメのこうら(亀甲(きっこう))のような像がみられ、参考になります。
 診断は、肺の組織を少し採取し(肺生検(はいせいけん))、その組織の変化を顕微鏡で調べる病理組織学的検査の結果によって確定します。
[治療]
 確実な治療法はありません。症状をみて、それを抑える対症療法が行なわれます。

出典 小学館家庭医学館について 情報

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