朝日日本歴史人物事典 「能円」の解説
能円
生年:保延6(1140)
平安末・鎌倉初期の天台宗の僧。藤原顕憲の子。母は藤原家範の娘で,平時信に再嫁して時忠,時子らを生んだ。その関係から能円は平清盛に近侍し,尊勝寺執行を経て治承3(1179)年法勝寺執行に補された。刑部卿藤原範兼の娘範子(後鳥羽天皇乳母)との間に在子(のちの承明門院,土御門天皇の母)らをもうけたが,平氏都落ちに従い西下して,壇の浦の戦で生け捕られたのち備中国に配流された。その後孫に当たる土御門天皇が即位したが,『愚管抄』によれば,僧が天皇の外祖父であるのはどうか,といわれているうちに病没した。
(木村真美子)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報