能動(読み)ノウドウ(その他表記)poiein ギリシア語

デジタル大辞泉 「能動」の意味・読み・例文・類語

のう‐どう【能動】

他からのはたらきかけを待たずにみずから活動すること。受け身でない活動。⇔受動

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「能動」の意味・読み・例文・類語

のう‐どう【能動】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 他からの働きかけを待たずに自ら活動すること。受け身でない活動。⇔受動
    1. [初出の実例]「自己の危険なれど、或は能動に出でて自ら暴力に抗し」(出典:心頭語(1900‐01)〈森鴎外〉危険)
  3. 文法で、動詞の表わす動作作用がその主体自らの発動であること。受動の対。日本語では語形上の特色はない。能相。→能動態。〔小学日本文典(1874)〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「能動」の意味・わかりやすい解説

能動
のうどう
poiein ギリシア語

受動paschein(ギリシア語)に対する語。受動とともに存在事物の働きを二つの面からいう語である。アリストテレスでは10個のカテゴリーの一つである。運動変化は、〔1〕運動変化を引き起こす能動者と、〔2〕運動変化がそのものの内において生ずる受動者と、〔3〕生起する運動変化との三つの要因からなるものとして分析された。それゆえ、この能動―受動の連鎖の始端には、それ自体は受動の働きをもたず、能動の働きだけをもつものの存立が運動変化の第一原因として要請されてくる。これが第一動者である。認識の働きも運動変化の一つと考えられるところから、認識の働きについてもこれと同じことが想定され、認識の働きの始端にもそれ自体は能動の働きだけをもつものの存立が、認識の働きの第一原因として要請される。これが能動理性nūs poiētikos(ギリシア語)、intellectus agens(ラテン語)である。能動理性が万人に共通の同一なものか、それとも、各自に内在する各自に固有なものかについて、論争があった。

[加藤信朗]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android