星自身が規則正しく膨張と収縮を繰り返すために明るさの変化する星。脈動変光星ともいう。脈動星では,単に明るさが変化するだけでなく,脈動により星の表面が膨張,収縮するようすがスペクトル線のドップラー速度の変化としても観測される。脈動星の代表としては,ケフェウス座δ星がある。この星は,5.4日の周期で極大光度3.7等から極小光度4.9等まで1等級ほど明るさが変わる。脈動星は,脈動の周期,変光の特徴,スペクトル型などから,いくつかのグループに分類されている。このうち,脈動周期のもっとも短いグループは,くじら座ZZ型と呼ばれる白色矮星(わいせい)の脈動変光星で,その変光周期は数百秒,また周期のもっとも長いグループは,ミラ型または長周期変光星と呼ばれる赤色超巨星の脈動変光星で,その周期は1年から数年にわたっている。脈動変光星の脈動という現象は,星の固有振動である。平衡状態にある星をほんのわずかだけ膨張あるいは収縮させて手をはなしたとすると,星は元の平衡状態へ戻ろうとして振動する。これが星の固有振動である。星の固有振動には,星が球形を保ったまま膨張したり収縮したりする動径振動と,星の形状が球形からずれるような非動径振動がある。最近の精密な観測により,太陽も振幅が非常に小さい非動径振動を行う一種の脈動星であることが明らかになった。
→変光星
執筆者:尾崎 洋二
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