ケフェウス座(読み)けふぇうすざ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ケフェウス座」の意味・わかりやすい解説

ケフェウス座
けふぇうすざ

カシオペヤ座北極星のほぼ中間にある星座。日本では一年中見ることができるが、宵に北の空高く昇り見やすくなるのは秋のころとなる。2.4等のα(アルファ)星以下の星5個で五角形、あるいは家の形に星を連ね、一部は天の川の中に浸っている。ギリシア神話では古代エチオピア国王ケフェウスの姿を表したものとされ、秋の夜空に繰り広げられる星座神話のなかで最初に登場する人物でもある。δ(デルタ)星は、5日8時間48分の正確な周期で3.5等から4.4等まで規則正しく明るさを変える「ケフェウス座δ型変光星」の代表例として知られている。この種の星は、遠距離にある星雲などの距離を測るのに役だつため、「宇宙の灯台」的役割を担う変光星として重要視されている。

[藤井 旭]

『林完次著『星座「秋」』(1987・保育社)』『パトリック・ムーア著、岡崎彰・吉岡一男訳『星・物語――100億光年のかなたから』(1992・丸善)』『藪内清訳・解説『ヘベリウス星座図絵』(1993・地人書館)』『藤井旭著『チロの星空カレンダー10 アンドロメダ姫物語――秋・10月の星』(1993・ポプラ社)』『藤井旭著『全天星座百科』(2001・河出書房新社)』『藤井旭著『星座大全――冬の星座』(2003・作品社)』


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ケフェウス座」の意味・わかりやすい解説

ケフェウス座
ケフェウスざ
Cepheus

10月中旬の宵に南中する北天の星座。概略位置は赤経 22時,赤緯 70°でカシオペア座とりゅう座の間にあり,日本では年中見られる。4つの3等星と1つの4等星が細長い五角形をつくっている。星座は目立たないが,δ星はケフェウス型変光星またはケフェイドと呼ばれる脈動変光星の代表として有名。μ星は W.ハーシェルがガーネット・スターと評した深紅色不規則変光星,またクリューゲル 60番星は地球から 12.8光年にある実視連星として知られている。ギリシア神話ではケフェウスはエチオピアの王でカシオペアの夫であり,アンドロメダの父である。

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