内科学 第10版 「脳血管障害の分類」の解説
脳血管障害の分類(血管障害)
脳卒中の臨床分類(NINDS-Ⅲ)
臨床病型(clinical disorder)は無症候性(asymptomatic),局所性脳機能障害(focal brain dysfunction),血管性認知症(vascular dementia),高血圧性脳症(hypertensive encephalopathy)に分けられる.
a.無症候性脳血管障害
神経症状あるいは網膜病変を呈さない脳血管障害で偶然にCT,MRIまたは剖検で発見されるものをいう.MRI T2強調画像において辺縁が円滑な高信号病変は,病理所見上,血管周囲腔の拡大を示し,辺縁が不正な高信号病変はラクナ梗塞を示すことが多い.
b.局所性脳機能障害
1つの血管系の灌流領域に虚血が生じることによる神経症状を示す.症状が24時間以内で改善すれば,一過性脳虚血発作とし,症状が持続した場合には脳梗塞という.閉塞血管による症状は表15-5-4に示す.
c.血管性認知症
広範囲の脳梗塞や多発性脳梗塞などにより認知機能が障害され,認知症を呈すると考えられている.
d.高血圧性脳症
現在では比較的稀有な疾患である.急速な血圧上昇により意識混濁や痙攣,一過性の神経学的所見の異常を呈する.拡張期血圧は130 mmHg以上のことが多い.髄液圧上昇,乳頭浮腫などの頭蓋内圧上昇の所見,画像上明らかな出血を認めないことなどが診断に有用である.降圧により症状は改善する.[棚橋紀夫]
■文献
Adams HP Jr, Bendixen BH, et al: Classification of subtype of acute ischemic stroke. Definition for use in a multicenter clinical trial. Stroke, 24: 35-41, 1993.
Committee established by the director of the NINDS: Classification of cerebrovascular diseaseⅢ.Stroke, 21: 637-676, 1990.
藤島正敏:わが国における脳卒中の変遷と新しい分類.内科,79:
637-640, 1997.
出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報