興味(読み)キョウミ

デジタル大辞泉 「興味」の意味・読み・例文・類語

きょう‐み【興味】

その物事が感じさせるおもむき。おもしろみ。興。
「人生の最も深き―あり」〈高村・友の妻〉
ある対象に対する特別の関心。「興味がわく」「興味を引く」「興味に満ちた表情」「興味の的」
心理学で、ある対象を価値あるものとして、主観的に選択しようとする心的傾向。教育学では、学習の動機付けの一つ。
[類語](1興趣感興・おもしろみ・味わいおもむき風情気韻風韻幽玄気分内容情趣情調情緒風趣風格余情余韻詩情詩的滋味醍醐味妙味雅味物の哀れポエジー/(2関心好奇心求知心・探究心・色気いろけ

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精選版 日本国語大辞典 「興味」の意味・読み・例文・類語

きょう‐み【興味】

  1. 〘 名詞 〙
  2. おもむき。おかしみ。興。
    1. [初出の実例]「盃酌頻巡、興味漸促」(出典:権記‐長保二年(1000)一二月二日)
    2. 「蓋歌詞は、固と吟詠すべき者なれば、其興味は、専ら意義の中にのみはあらずして」(出典:読書入門(1886)〈文部省〉)
    3. [その他の文献]〔蔡襄〕
  3. 対象に対する特別の関心。
    1. [初出の実例]「Interest 興味、利息」(出典:哲学字彙(1881))
    2. 「興味(キョウミ)を損害せぬ限の事は、飽くまで苦痛をも忍ぶんですが」(出典:内地雑居未来之夢(1886)〈坪内逍遙〉一〇)
  4. 特に、心理学・教育学で、ある対象や状態に、意識的な努力なしにひきつけられ、注意の向いていく心的傾向。多くは持続的で、快い感情を帯びる。

興味の語誌

( 1 )漢籍典拠を持ち、日本では古くの挙例のような、上層階級の男性日記に使用例が見られる。しかし、「興味」が一般的に用いられるようになったのは、明治時代以降と思われる。
( 2 )の挙例「哲学字彙」に見られるように、英語 interest の訳語として採用された。明治中期には「趣味」も類義に使用されたが、次第に、「興味」は英語 interest の意味に、また「趣味」は英語 taste の意味に対応するようになった。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「興味」の意味・わかりやすい解説

興味
きょうみ
interest

ある対象(事物や活動など)についての積極的な選択の構えを関心といい、それに好きという情動的な心的状態が加わったものを興味とよんでいる。ドイツの心理学者レビンは、人間がある対象に接近したり、あるいはそれを回避したりする場合、誘意性という概念で説明している。のどが渇いた人(正確にいえば体内の水分が必要になった人)にとっては水分はプラスの誘意性(積極的誘意性)をもつことになり、人は水分に向かって接近行動を展開する。また、犬にかまれたことのある子供は犬に対してマイナスの誘意性(消極的誘意性)をもつので回避行動を展開する。この誘意性の考え方からすれば、興味は、特定の個人と、その個人が積極的な情動状態を伴って選択した対象との間の引き合いであるといえる。興味のことを英語でインタレストinterestというが、interは間の意味、estは存在という意味、つまり、人と事象の間にあるものということになる。

 ドイツの哲学者、心理学者のシュプランガーは、興味の型(生活様式の型)によって人間を分類している。心理学でも有名な性格類型である。すなわち、(1)理論人(真理追求に興味をもつ人、学究肌の人)、(2)経済人(財貨蓄積に興味をもつ人、金権家肌の人)、(3)審美人(美的な事象に興味をもつ人、芸術家肌の人)、(4)権力人(政治的な仕事に興味をもつ人、政治家肌の人)、(5)宗教人(神仏への信仰に興味をもつ人、宗教家肌の人)、(6)社会人(社会的福祉活動に興味をもつ人、福祉家肌の人)の6類型である。このほか(7)として、運動人(スポーツ活動に興味をもつ人、運動家肌の人)を追加する学者もいる。シュプランガーは1人の人間が複数の型に入ることもありうるといっている。すなわち、経済人と権力人、宗教人と社会人というふうに組み合わされることもあるというのである。

 個人の興味を調べる心理検査を興味検査というが、そのなかでも職業興味検査は有名である。興味があることに加えて能力的な適性も必要になる。心理的な興味と能力的な適性は車の両輪であって、このバランスがうまくとれていないと満足できる職業生活は遂行できない。

[大村政男]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「興味」の意味・わかりやすい解説

興味
きょうみ
interest

一般には,ある対象や活動に対する情緒的緊張を伴う選択的構えをさす。態度よりは行動志向的な意味で用いられ,また内因性という側面が強いが,態度と必ずしも厳密に区別しがたい場合もある。興味はまた動機づけの側面をもっているので,この側面を重視して定義されることもある。この見地に立てば,動物に広くみられるいわゆる好奇心もこのなかに含まれる。これは,動物が環境に適応していくための情報を得る際に非常に大きな役割を演じている。興味は年齢,能力の程度,性別などさまざまな要因により変るが,発達的にみると,発達の最盛期にある機能を働かせる活動がその時期に最も興味をもたれるといわれる。興味の検査法ではストロング職業興味質問票が有名。

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普及版 字通 「興味」の読み・字形・画数・意味

【興味】きようみ

興趣。おもむき。唐・李中〔九江の旧居を思ふ、三首、二〕詩 門水、湘(せうしやう)に似たり 放曠(はうくわう)優游すれば、興味長し

字通「興」の項目を見る

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