家庭医学館 「腟がん」の解説
ちつがん【腟がん Vaginal Cancer】
腟に発生するがんで、女性性器がんの1~3%を占める、まれながんです。
最初から腟に発生するものと、子宮や膀胱(ぼうこう)、外陰(がいいん)、卵巣(らんそう)などのがんから広がって腟におよぶものとがあります。
もっともおこりやすいのは腟の上部3分の1の部分で、そこから子宮のほうへ広がっていくことが多いものです。
また、リンパ管を通って周囲の骨盤内(こつばんない)リンパ節に転移したり、まれに、血管を通って肺や肝臓に転移することもあります。
不正性器出血や血液のまじったおりものが出たりしますが、多くの場合、初期には無症状です。
[検査と診断]
婦人科の内診時に、触診(しょくしん)や視診(ししん)で腟がんが疑われた場合は、腟の腫瘤(しゅりゅう)(しこり)や潰瘍(かいよう)部の細胞診(さいぼうしん)、コルポスコープ診(「硬性鏡のいろいろ」のコルポスコープ(腟拡大鏡)を行ないます。そして、その組織を米粒(こめつぶ)ほどとって顕微鏡的に病理組織検査を行ない、がんかどうかを決定します。
[治療]
腟を中心に、子宮を含めて周囲のリンパ節を摘出(てきしゅつ)する手術療法と、リニアック(直線加速装置)やラジウムなどを用いた放射線療法があります。