コルポスコープ(読み)こるぽすこーぷ(英語表記)colposcope

日本大百科全書(ニッポニカ) 「コルポスコープ」の意味・わかりやすい解説

コルポスコープ
こるぽすこーぷ
colposcope

腟(ちつ)拡大鏡ともいい、6~40倍の拡大率をもった立体顕微鏡に強力な照明装置をつけ、焦点調節が容易にできるような支持台に取り付けたものである。子宮頸癌(けいがん)の好発部位である子宮頸腟部を直視下に観察し、ことに肉眼で見ることのできない無症状、無自覚の臨床前癌(早期癌)を発見するための強力な診断装置である。コルポマイクロスコープはさらに倍率の高い100~200倍で、組織表面の細胞を生体染色して観察するための装置である。

[新井正夫]

コルポスコピー

コルポスコープを用いて診断することで、腟拡大鏡診ともいう。この診断法は病変局在を知るのに有効であり、細胞診およびコルポスコピーによって確認された異常部位をねらって行う生検(ねらい組織診)の3法を併用することによって正確な診断がなされる。また、集団検診で多人数に行った細胞診の要精密検査者を対象に実施する方法としても有用である。コルポスコピーは細胞診と併用することによって高度異形成上皮などの前癌病変および上皮内癌や初期浸潤癌など早期癌の発見が可能となり、子宮癌の治癒率は飛躍的な向上をきたした。また、これによって、膀胱(ぼうこう)や直腸障害を少なくする最小にして有効、適切な縮小手術ができるようになった。

[新井正夫]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「コルポスコープ」の意味・わかりやすい解説

コルポスコープ
colposcope

子宮頸癌の早期診断に用いる腟拡大鏡。頸癌の発生しやすい子宮腟部,頸管部の粘膜表面を5~40倍に拡大し,肉眼では見えない早期の変化を発見する。これを用いた診察をコルポスコピーという。

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