節足動物による虫刺症の俗称で、刺咬(しこう)症ともいう。ハチをはじめブヨ、カ、ノミ、ダニ、ナンキンムシなどの虫に刺された部分の皮膚を中心に生ずる米粒大から爪(つめ)ぐらいの大きさの赤い斑点(はんてん)あるいはじんま疹(しん)様の紅斑をいう。大きな水疱(すいほう)をつくることもある。自覚症状として強いかゆみがあるのが普通であるが、ハチの場合は刺された箇所が数分後に大きく赤く腫(は)れ上がって強い痛みを伴い、ハチ毒に対する強いアレルギーがある場合にはショック状態となり、血圧が下がり冷や汗をかき、めまい、吐き気を伴い、意識も障害されるほどの重症となり、ときに死亡することもある。治療としては、軽症の場合は副腎(ふくじん)皮質ホルモン剤含有クリームまたは軟膏(なんこう)の外用、中等症の場合には抗ヒスタミン剤の内服を加え、さらに重症の場合はこれに副腎皮質ホルモン剤の全身療法を加える。ショック状態に対しては救急処置が必要である。
[伊崎正勝・伊崎誠一]
…急性痒疹の大部分は小児にみられ,一般には小児ストロフルスとして知られていたが,近年発生が減っている。代わって最近では虫刺されが主因とされ,したがって夏季に露出した四肢に生じやすい。虫に刺されたのち,漿液性丘疹から充実性丘疹となり,かゆさのため不眠や食欲減退を起こし,かきこわして二次感染を受けると,飛火を続発する。…
※「虫刺され」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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