膵移植(読み)すいいしょく

百科事典マイペディア 「膵移植」の意味・わかりやすい解説

膵移植【すいいしょく】

インスリンインシュリン)依存型の糖尿病や,癌(がん)などで膵臓を切除したため糖尿病にかかった人に対して,膵臓を移植すること。膵臓は1つしかないので,糖尿病や膵臓病以外の病気で死亡した人や,死亡した胎児新生児などの膵臓を移植する。 1966年に米国やスウェーデンで行われて以来,症例数は年々増えている。国際膵移植登録機構(The International Pancreas Transplant Registry)には,1997年までに全世界で9891例が報告されており,うち75%を米国,残りのほとんどをヨーロッパが占めている。 膵臓の全部を移植する方法と,膵臓の一部であるランゲルハンス島肝臓に注入して移植させ,インスリンを出させる方法がある。最も多いのは,腎不全を伴う糖尿病患者に膵臓,腎臓を同時に移植する手術で,全体の約90%を占めている。1994〜1997年に米国で行われた同時手術のうち,1年生存率は94%,膵臓,腎臓の生着率はそれぞれ82%,90%となっている。 日本では,1998年までにランゲルハンス島の移植は300例を超えている。1998年3月,外科医らでつくる〈膵・膵島移植研究会〉(会長=埼玉医科大学出月康夫教授)は,移植までの手順を初めて統一指針としてまとめた。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

今日のキーワード

苦肉の策

敵を欺くために、自分の身や味方を苦しめてまで行うはかりごと。また、苦しまぎれに考え出した手立て。苦肉の謀はかりごと。「苦肉の策を講じる」...

苦肉の策の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android