日本大百科全書(ニッポニカ) 「臨時外交調査委員会」の意味・わかりやすい解説
臨時外交調査委員会
りんじがいこうちょうさいいんかい
大正期の天皇直属の外交審議機関。1916年(大正5)成立した寺内正毅(てらうちまさたけ)内閣が、政治基盤の安定を図るため、外交・国防方針での挙国一致を目ざして翌年6月に組織した。総裁に寺内首相、委員には外・内・陸・海四相と枢密顧問官から牧野伸顕(まきののぶあき)、伊東巳代治(いとうみよじ)、平田東助(ひらたとうすけ)を任命。ほかに政友会原敬(はらたかし)、憲政会加藤高明(たかあき)、国民党犬養毅(いぬかいつよし)の三党首に就任を求めた。加藤には拒否されたが、これにより、政友、国民両党の支持を得ることに成功した。委員会はシベリア出兵問題を中心的に論議し、原、犬養らのアメリカとの協調出兵論が軍部の意見を制約するなどの役割も果たした。その後原敬内閣でもワシントン会議などの政策調整機能を果たしたが、その存立意義は漸次薄れ、22年9月、加藤友三郎(ともさぶろう)内閣によって廃止された。
[由井正臣]
『小林龍夫編『翠雨荘日記』(1966・原書房)』▽『小林龍夫著『臨時外交調査委員会の設置』(国際政治学会編『日本外交史の諸問題Ⅱ』所収・1965・有斐閣)』