日本大百科全書(ニッポニカ) 「自殺統計」の意味・わかりやすい解説
自殺統計
じさつとうけい
警察庁が公表する自殺者数についてのデータ。都道府県別に毎月出され、年齢、職業、動機別などの詳細データとともに一年分が「自殺の状況」として公表される。統計の調査対象は総人口で外国人を含み、地域別のデータは自殺死体発見時点の発見地を基にする。また、捜査などにより自殺であると判明した時点で自殺統計原票を作成し、計上する。厚生労働省の人口動態統計にも自殺者についての統計があるが、調査対象は日本人のみで、地域別データは死亡時点の住所を基にし、自殺、他殺あるいは事故死のいずれか不明のときは自殺以外で処理しているという点で、両統計の数値は異なる。2012年(平成24)の自殺統計では、自殺者は2万7858人で3年連続の減少。1997年(平成9)の2万4391人以来、15年ぶりに3万人を割り込んで話題となった。日本の自殺者数は、1998年に3万2863人となってから、2003年の3万4427人を最多として、およそ3万2000人ほどで推移していた。3年連続で減少した背景には、2010年施行の貸金業法改正により上限金利が引き下げられ多重債務者、自己破産者の減少が続いていることがあるとみられる。また政府、自治体が自殺を防止するためのネットワークづくりなど、具体的な取り組みを進めたこと、鉄道の駅などでホームドアの設置を増やし衝動的な自殺を防ぐインフラが整いつつあることの効果も指摘されている。
しかし、世界の自殺者数をみると、日本はリトアニア、韓国、ロシア、ベラルーシ、ガイアナ、カザフスタン、ハンガリーに次いで8番目で(『平成24年版 自殺対策白書』)、先進国のなかでは極めて多い状況にある。
[編集部]