家庭医学館 「舌小帯強直症」の解説
ぜつしょうたいきょうちょくしょうぜつしょうたいたんしゅくしょうぜつしょうたいゆちゃくしょう【舌小帯強直症(舌小帯短縮症/舌小帯癒着症)】
舌小帯強直症では、この舌小帯の一方が舌の先端近くに付着したり、下あごの前歯の内側の歯肉近くにまで付着しているので、舌の動きが非常に悪くなり、無理に舌を前方に出させると、舌の先端が後方にくびれます。
先天性のものと、外傷や熱傷(やけど)のあとにおこる後天的なものがあります。
舌の運動が悪くなるため、発音が不明瞭(ふめいりょう)になり、とくにサ行音、ラ行音などがはっきりしません。また舌小帯の異常緊張のため、下あごの正中(せいちゅう)(中心)の歯の間が開く正中離開(せいちゅうりかい)をおこします。
生まれつき下あごの前歯が生えていたり(先天歯(せんてんし))、乳歯が早く生えたときに、その歯で舌小帯を傷つけることがあります(リガ・フェーデ病)。痛みが激しく、食事ができなくなりますので、歯科を受診して歯の切端を削り、丸めてもらう処置が必要です。
もし将来の発音が心配なら、3歳前に舌小帯切除術または舌小帯延長術を行ないます。
手術は比較的簡単ですが、乳児の場合は全身麻酔が必要です。3歳以降でも手術は行なえますが、手術後に発音練習が必要です。後天的な重症の強直症には、癒着部の剥離(はくり)後に粘膜移植や皮膚移植を行なうこともあります。